・MAIN(二次版権)・

□七夕
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今日は7月7日。世間でいう七夕。

「江利子ー。」

だらしのない声で私を呼ぶ声。

「何?」

一応反応を返す。

「眠いんだけど。」

「寝れば?」

「この状態で?」

困ったように言う聖の状況はというと
ベッドにうつ伏せに寝ていて、その上に私もうつ伏せという感じ。
ちなみに私は雑誌を読んでいる。

「おーもーいー!」

「なんか言った?」

雑誌の角で聖の頭をどつく。

「な、なんもないっす・・・。」

「そう。」

「あーあ。早く江利子がどいてくれますように。」

天に願うように言ったので聞いてみた。

「聖、七夕だって知ってたの?」

「そりゃ知ってますよ。」

「色んな行事忘れるあなたがねぇ。」

本当こいつは色んな行事を忘れる。恋人の私の誕生日でさえ忘れる。

「願い事は色々あるしね。」

そう言った聖の顔が寂しそうに見えて思わず頭を撫でた。

「な、何急に。」

「願い事言いなさい。」
「へっ?」

「聞いてあげるから。なんでも言っていいわよ。」

びっくりしてるのは上からでもわかった。
聖からおりて向き合う。ちょっと迷って聖は口を開いた。

「まず、もう一回高校生やりたい。」

高校生活を思い出すように遠い目をしていた聖は答えてからちょっと笑った。

「無理だってわかってるけど。」

「そうね。他は?」

私も少し笑ってから他の願いを促す。

「山百合会のみんなで合宿に行きたい!」

「それは実現できそうね。今度誘ってみましょう。」

「うん!」

本当に楽しそうに笑うもんだから、つい私も優しい表情になる。

「後ー・・・志摩子にもっと構ってあげたかった。高校の時ね。」

苦笑。

「結構気にしてたものね、あなた。」

「まぁね。大事な妹だし。」

私に見せない表情をするものだから、少し嫉妬する。
まぁ多分私も令に対してあんな感じなんでしょう。

「他は?」

言いにくそうな顔をしている聖を促す。

「・・・栞が、幸せに、過ごしてて、ほしい。」

言葉を選びながら、苦しげに言う。
しかめられた顔を見て胸が痛んだ。

「それくらい、かな。」

「そう・・・。」

二年前のような顔をしていた聖を抱きしめる。

「じゃあ夜空に願いましょうか。」

しばらく抱きしめていた聖を離して言う。

「江利子は叶えてくれないの?」

いたずらっ子みたいな表情をして言うから、私はさらっと言ってやった。

「私にそんな能力ないもの。」

そう言った瞬間聖は噴き出した。
そして少し笑った後にそれはそーだね、と妙に納得していた。


その後ちゃんと願い事をした私達が山百合会のみんなで合宿に行くのはちょっと先の話。




end
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