・二次版権A・

□無責任な言葉
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「なにやってんのー。」



木の上にいる忍者に声をかける。



「・・・・・・こっちのセリフなんですけど。」



いつものように逆さまではなく、枝に普通に座ってそう言う忍者。
しかもいつものヘラヘラ顔はしてなくて、まさに無表情だった。



「私は生徒会として、こんな時間に寮を抜け出してる生徒を注意しにきた訳だけど?」



「こんな時間に寮を抜け出しちゃいけないのは生徒会も一緒のはずですけど?」



「そーなのよねぇ。」



別に最初からごまかす気なんてなかったので、久我さんの反撃を素直に受け入れる私。

只今の時刻、午後11時。
たとえ生徒会だからって、こんな時間に外に出たら怒られる。



「てか何しに来たんですか・・・。」



あたしの言葉に呆れたような表情になって話しかけてくる久我さん。



「いやー、迷子を探してたら久我さんが見えたから。」



「迷子?」



にっこりと笑って答えると、久我さんが訊いてくる。



「友達の忠犬が迷子になっちゃったらしくてねぇ。探してたのよ。」



元白服の友達二人を思い浮かべてそう言う。
実際探していたのは本当で、ついさっき玲と二手に別れたところだったのだ。



「そしたらなんと、木に忍者がいるじゃない。」



大袈裟な口調で話す。
それに更に呆れたような表情をして、久我さんは言った。



「・・・・・・今そーゆー気分じゃないんで。」



あらま。
本当にいつもと違う対応で。
いつもなら私が話しかけると喜んで話にノってくるのに。



「なに、センチメンタルな気分?」



「そーです。」



「それは、飼い主が不在だから?」



面倒くさそうに言葉を返してた久我さんが黙り込む。
そして、怪訝そうな顔をしてまた言葉を返してきた。



「・・・・・・関係ないっす。」



「そうは見えないわよ?一人になりたいけど、一人が寂しいって顔してる。」



また黙り込む久我さん。
それは多分、図星だからで。



「おいで。」



久我さんに向かって腕を大きく広げる。



「・・・・・・そんな無責任なこ「おいで。」



何か言おうとした久我さんの言葉を容赦なく遮って同じ言葉を繰り返す。

するとためらいがちに木から降りて、あたしの前に立つ久我さん。



「そんな無責任なことしていいんですか?あたし、大分面倒くさいですよ?」



頭をガシガシと掻きながらそう言う久我さん。
それが、刃友の姿に重なって自然と笑みが零れる。



「おいで。」



それでも同じ言葉を繰り返す私。
それに観念したように久我さんは私の腕の中に来た。



「・・・・・・責任取ってくださいよ。」



そう呟くように言った久我さんを抱きしめて、私は言葉を返す。



「無責任なのに?」



腕の中で久我さんが、さいてー・・・と言った気がしたけど、ギュッと抱きしめ返してきたから黙ることにした。



end

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