・短編C・
□2つの太陽
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あいつは太陽だ。
なんでも照らす太陽だ。
「舞美。」
たまたま休みが被ったあたし達は家デート中。
別に勿体無くなんてない。
家デートだって外デートと同じくらい価値がある。
「なに?」
もちろん、舞美と一緒ならばの話だけど。
それに、家の中でも太陽の近くだからあったかい。
舞美という太陽の。
「舞美って太陽みたいだよね。」
そう言うと、舞美はキョトンとしてから笑った。
あたしはなんで笑われてるのかわからない。
そう思っていると、笑いながら舞美が言った。
「みやの方が太陽だよ!」
・・・・・・・・・はい?
「だってなんでも照らしちゃうし、あったかいし。」
なんだ。
あたし達、同じことをお互いに思ってたのか。
なんか、恥ずかしい。
「・・・・・・・・・舞美、あたしと同じこと思いすぎ。」
恥ずかしいからやめて、と言おうとしたらその前に舞美が口を開く。
「なんか、嬉しいね!」
そう言って無邪気に笑う舞美。
同じ太陽でも、性格は違うらしい。
あたしはそんな素直に『嬉しい』なんて言えないからさ。
そう思いながら、あたしは無邪気な太陽に向かって『バカ』と呟く。
あいつは太陽みたいに笑った。
end