・短編D・

□相互充電
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電池切れだ。

楽屋に入った途端、目に入ったあの子を見てそう思った。

そろそろ充電が必要かな。



「りーほりほっ」



楽屋に一人、隅っこの椅子にボーッと座ってるりほりほに声をかける。
電池が切れてる状態なので、反応がすぐ返ってこないことはわかってる。
ゆっくり待っていると、数秒後にようやく可愛い顔がこっちを向いた。



「みっしげさん・・・」



ポツリと呟く。
誰だかは把握できてるみたいだ。

ここからが腕の見せどころ。
ここで『大丈夫?』って聞くと、必ず無理してでも『大丈夫』と答えちゃう子だ。



「はーい、こっちおいでー」



「・・・・・・へっ?」



「肩の力抜いてー、さゆみに遠慮なく寄っ掛かっていいよー」



隅っこの椅子から中央のソファーへ。
腕を引いて連れていき自分が座ってからりほりほを座らせる。
そしてごろんと寝転がらせて、その頭を自分の膝に乗せる。

所謂、膝枕だ。



「あ、あのっ・・・」



「遠慮しなーい、良い子ですねぇ可愛いねぇ」



最初は必死で起き上がろうとしてたりほりほも、だんだんと観念したのか大人しくなった。
そして、そんなりほりほの可愛さと言ったら。



「どうしよう・・・・・・食べちゃいたい・・・」



「・・・起き上がらせてください」



「あぁっ、嘘っ、嘘だからっ!」



起き上がろうとするりほりほの肩を慌ててグッと押さえ付けると、くすくすとりほりほが笑い始めた。



「ありがとう、ございます」



「・・・・・・うん、いいよ。もっと甘えても良いんだよ。その方が嬉しいし」



「ブログのネタにしないってことなら考えてみます、うひひ」



そう言って悪戯っ子みたいに笑ったりほりほは、だいぶ充電出来てきていた。
後必要なのは睡眠だけって感じ。



「しないしない!あ、でもとりあえず今は寝顔欲しいな」



「撮る気満々じゃないですか」



「大丈夫、さゆみだけのにするから」



その言葉に、りほりほはうーんと悩んでいたけど、だんだん眠くなってきたのか目が開かなくなっている。
そんなところはまだまだ子供っぽいな、と可愛く思っているとりほりほが寝ぼけながら話し始めた。



「みっしげさん・・・・・・また、たまに・・・こうやって、私だけ・・・可愛がって・・・くだ、さいね・・・」



寝ぼけと照れが混じっているような言葉。
そんな可愛くて仕方ない言葉に微笑んで頷いてやる。

このまま、うるさいメンバーが来るまで甘やかしてあげよう。
それがさゆみの充電にもなるのだから。



end

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