LONG dream
□雪花 初
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「…おきた…そうじ……」
「…むにゃ」
さくらが視界に沖田をとらえ、誰にも聞こえない声量で呟いたとき、となりでいびきをかいていた芹澤が覚醒した。
「…芹澤はん、お目覚めどすか?」
「さくらか、寝てしもうたわ」
「くす…沖田せんせがおこしどすえ」
「おお!!沖田が来たか!沖田!こっちへこい!!酌をしろ!」
「芹澤せんせ、お酌はうちが…」
「よいよい!さくらはわしの側に居ればよいのじゃ!」
参った。
芹澤鴨に気に入られてしまったようだ。
ごろん、とさくらの膝を枕にして横になってしまった。
「はいはいはい、芹澤先生遅れてすみませんね、…と、」
ゆっくりとさくらは頭をあげ、沖田をその大きな瞳で捉える。
沖田もまた、さくらを自然な流れで見やった。
「…!!あなたはたしか…!」
「おき、「遅いではないか!待っておったぞ!」
「「!!」」
「お?二人は知り合いか?」
「え、まあ、ちょっと…」
答えたのは沖田。
「なんだ、まさか恋仲ではないだろうな」
「ちが、」
「うちは島原の女どすえ?沖田せんせみたいな素敵なひとが、うちみたいな女を相手にしてくれるわけおへん。」
「なにを言うか、さくら!わしはお前が好きだぞ!」
!!!!!!
この場の空気が凍った。
芹澤が発するこの言葉の意味。
「そうじゃ!わしの女になれ!!落籍するぞ!店主を呼べ!!」
「え…っ?」
さくらも沖田も、全員が目を見開いた。
「うちが、新撰組、に…?」
さくらはすべての思考が停止してしまったようにしばらく動くことができなくなった。