ポケットモンスターSPECIAL
□黄色の火照り
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少女は目を覚ました。
ちょうど昼をさすところに日が昇っていて窓からチカチカと眩しい光が少女の目の前を照らす。
うわやばい、と思いダボダボの白いパジャマを纏った黄色い髪の彼女は立ち上がってキラキラとその髪の毛を光らせる。
時計を見て時間を再確認する
なんてことだろう。誘ったのは自分だというのに
恥ずかしかった、けれど言われたのだブルーさんに
期待を持たせなきゃあのバカは動かない。
気を引きたいのならボクが動くしかないと実感されたからボクは応えた、そうですよね、振り向いてもらえるためには。
「正確にはそういう事じゃないんだけどねぇ…」
と呆れられたけれど、なぜだろうか
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「もうとっくに振り向いてるって言うのにあの子気付いてないわよ!なんで早く手ぇ出さないのよバカ!!」
手を出すって言い方やめろ、と言いたかったがそれすらも許されない憤りを俺に見せる鬼…いやブルー。どうやらイエローは俺が惚れている事をまったく気づいていない。あれだけの意思表示をしたのにだ。
誕生日の日、買うのが恥ずかしかった彼女に似合うだろう可愛らしい髪留めを精一杯の勇気で渡した。
ありがとうございますと笑顔で返されて俺はそれだけで満足してしまった。
ブルーは笑顔で、黒いオーラをだしている
「そうゆうところがダメって言ってんのぉおぉぉぉ!!!!」
ある意味俺はこの目の前の友人より男らしくないらしい
そんなことを思い出しながら、俺はイエローとの待ち合わせを待っていた。
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イエローはその小さい肩を荒い呼吸のせいで上下に動かしていた
彼も遅刻なのだろうか、まだ待ち合わせのトキワの森の入口にはいない
ならばその間にとイエローは走って少し乱れた髪を整えて髪留めも付け直した
服装は薄い黄色のワンピース
肩の所のみふっくらしている肘から手の甲が隠れるくらいまでの長さの袖はレースがついている
足はワンピースが恥ずかしいからか照れ隠しにとレギンスを履いていた
本当はブルーにせっかく白くて綺麗な足なんだから見せなきゃと言われたのだけれど
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おかしいな、とレッドは時計に目をやった。
約束の時間が過ぎて約30分
時計から目を離し回りを見渡すが誰かがくるような様子はない
イエローの事だ寝坊して少しは遅れるだろうと思ってはいたが、さすがに心配になってきた
少し距離はあるがプテに手伝ってもらってイエローの家まで行くか
そう決めて腰に手をやり一つのボールをレッドは投げた
ボールから出てきたそれは大きな翼を広げてレッドを掴みあっという間に空へと羽ばたいて行った
さっきまでレッドのいた場所は
トキワではなかった
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1時間近くたっただろうか
イエローはずっとそこに立ち尽くしていた
「(どうしよう…)」
これだけ待っていたからか、イエローに様々な不安が生まれはじめた
急用で来れなくなったのだろうか
遅刻したから呆れて帰ったのだろうか
そんな気持ちを繰り返していると目頭が熱くなってじわりと来る物を必死に堪えた
「(あ…だめだ)」
泣きそう。
その瞬間だった
「イエロー!!!!!」
ふと顔を上げると、赤い帽子、精悍な顔、自分の名前を呼んでいる声、ずっと待っていた約束の人は来た
レッドはトキワについてからずっと走っていたのか汗だくで息が荒い
自分の数歩前で足は止まり、そんな彼を見た途端ためていた涙が一気に溢れ出した
「ご!ごめん!!イエローごめんな!!俺…てっきり約束した場所ってタマムシデパートかと」
「ぐすっ………タマ……ムシ?ボクはてっきりこの場所かと…」
「イエローが提案したのってタマムシデパートだよな?…」
「はい…レッドさんが行きやすい場所かなって。レッドさんはトキワの森って言いましたよね?」
「ああ、イエローが好きな場所ならここかなって…そしたら俺達そろってこう答えたよな」
「『そこにしよう』って」
「『そこにしましょう』って」
そこまで言って二人は同時に気づいた
つまり、イエローから聞いたレッドの「そこにしよう」とはトキワを推して言ったことであったと勘違いし、レッドもその逆でイエローはタマムシを推した発言だと思っていたということだ
二人してポカンとした顔をして見合わせた
なんて間抜けな話だろういくらなんでもこんなドジ普通はしない、それも二人ともだ
見合わせた顔はお互い徐々に緩みはじめて
二人は吹きだした
「あはははは、俺達まったく同じ間違いして」
「それに気付かないでずっと待っていたんですねっ、あはは!」
二人は笑いづづけた
なんだかさっきまで泣いていた自分がバカらしくなってきましたとイエローが言った瞬間レッドは凍りついた
「レッドさん?」
「そうだ俺泣かしたんじゃん…あああ最悪だぁ…」
「そんな!気にしないでください…ボクが情けないばっかりで」
お互い謝り続けたが全くきりがない会話が続くだけである
するとイエローから切り出した言葉
「約束の時間…結構すぎちゃいましたね」
「だな…昼も結構過ぎたし」
そうだお昼!と顔をあげて用意していた弁当をあわてて取り出した
「これ、いまから食べませんか?森で食べようと思ってちゃんとレジャーシートもありますよ」
「食べる!」
レッドの子供のような返事にイエローは微笑みで返す
イエローが作った弁当、だからこそこれだけ喜んでいるという事実を知らずにポニーテールを揺らし彼と肩を並べ少女は歩きだす、少しだけ遅れたデートに向かい…
あとがき
なんかgdgdですね;すみません