Novel

□きっかけの国
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キノはエルメスととある店に入ったそこは素朴なのにどこか気品が漂う小さな店だった 


「なんで同じ店のなかでこんなところ選んだのさ?」


「おじいさんから教えてもらった」




話はキノが国に入国したところまでさかのぼる 


審査官からこの国はオルゴールが盛んな国と言われたがキノはオルゴールを知らなかったので聞いてみると 

「知らないんですか!?……まったく…」 

最初は怒鳴り呆れ果てていたが説明しはじめるととても楽しそうに熱を込めてしゃべりだす 

そんな審査官を軽くあしらいキノはホテルへと目指す 


「なんで一つのことでああまで狂愛できるんだろねー」

エルメスが言うとキノは飽き飽きとした感じで 

「今に始まったことじゃないだろ?」





その後、キノはホテルを探すのに町を入るやいなや老若男女問わず話し掛けられオルゴールとやらを勧められたが安くて評判のいいホテルだけを聞いてすべて無視した 

このような国は珍しくない、なにか一つの国の名物に国民が全員没頭し趣味としてることは 

ゆえにキノは慣れている反面少し鬱陶しくも感じている 


キノはホテルに入りチェックインを済ませてさっそうと部屋に入るとシャワーを浴びた




「シャワー随分と長かったけど観光はどうするの?」


「入国したときから日がくれてたし、明日にするよ」


「さいで、キノはオルゴールに興味ないの?」


「あるさ。……ただ町の人達は個人の感想をしゃべってるだけだからどうでもよかっただけ」


「元王子様なら全部律儀に聞き入れそうだよねーキノとは違って」

急にシズのことを言い出したエルメスにキノは少し驚きピクリと肩を跳ねる 


「……なんで、…急にシズさんの話に?」


エルメスは楽しそうに言う
「別に〜?ただ少し気になるだけ、キノの元王子様に対する態度に」


キノの肩が、またピクリと跳ねる
キノはあくまで平然を装って聞く
「…なにが、どう?」


「なにってそりゃあ……──」

























─────エルメスの言った言葉をキノは一晩中忘れようと努力したが二日目の朝から訓練中もなかなか忘れられなかった




「ねーキノ拗ねないでってば」


「拗ねてないよ、じゃあエルメスはホテルで留守番しててくれ」


「拗ねてるじゃん!あ、待っておいてかな……」


バタンと強い音を立ててエルメスの言葉を最後まで聞かずドアを閉めたキノは


「………………。」 


気はあまり良くないまま観光へと外へ出た
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