小説

□無自覚なお姫様
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――ふ〜ん。バァイオリンのコンサート、ねぇ。
はっ!どうせ、上のお偉方からのご機嫌取りの品だろうが。
ったく、嫌なら貰わなきゃ良いだろうに。
いちいち気に入らない品を俺様に回してくるんじゃねぇよ、あのじい様は。
まっ、じい様の手に乗るのも癪だが、たまには音楽に浸るのも悪かねぇか・・・何?どうせ行くなら土産を買ってこい、だと?!
ちっ!つくづく喰えない老人だぜ・・・おい、ミハエル!車の用意だ!!


――なんや?姉貴。何?バァイオリンのコンサートのチケット?
そらまぁ、確かにバァイオリンは好きやし、弾くけど何で急に・・・ははぁん。さては彼氏にドタキャンされ・・・いった!図星やからって何も殴らんでもえぇやんか!
あぁ、はいはい。分かった、分かった。ほな、ありがたく頂きます・・・って何?土産を買うてこい?
はぁ、弟思いの姉を持って俺は不幸せもんやなぁ・・・痛っ!だから、蹴るなって!


――えっ?バァイオリンのコンサートのチケット?
わっ、私が貰ってもいいの?
うわぁ!ありがとう!!おばあちゃん!
私一度、バァイオリンのコンサートに行って見たかったの!
でも本当に良いの?だってこれおばあちゃんの・・・えっ?知り合いの人に貰ったけど急用で行けなくなったから?
うん、うん・・・分かった。それなら仕方ないね。
それじゃあ、私、おばあちゃんの分までしっかり聞いてくるから!
お土産も必ず買って帰るね!


そう、始まりはそんな感じで三者三様バラバラだったのだ。

たった一つ―――


――「「「あっ。」」」


コンサートのチケットが同じということを除いては。
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