小説

□カボチャは何を見つめるか
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10月31日──

外国からの文化を取り入れ、それを享受してきた日本に馴染みの出てきたこの日。

街中の飾り付けはオレンジ、紫を基調としたインパクトの強い物に彩られ、独特の世界の象徴とでもいいたげにくり抜かれたカボチャ、連なるコウモリ、空飛ぶ魔女が店頭に軒を連ねた頃。
人々が賑わいを見せる雑踏で、少女が1人、唸っていた。

「う〜ん。どうしよう……」

その少女は白く細い手を、ふっくらした童顔気味の丸めの頬に当て、しきりにショーウィンドウの前で睨めっこをしていた。
その前にあるのは葡萄のような紫色をしたワンピース。
袖はふっくらとしたバブ入りの長袖。
裾はフワフワの白いレースがついたスカート。

尖った帽子とアクセサリーがセットになったそれは可愛らしい物だった。
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