小説

□一瞬の煌めき
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「ここなら、いいかな?」

休日。子供達が思い思いの遊具で遊んでいる昼間の公園──そこには都市の公園とは思えない程緑にあふれ、小高い丘、周りには木や草花が咲いている。
ここは自然と都市との融合をコンセプトにした場所。
休日の親子連れには大人気の場所の一つだ。

そんな場所に、青年が1人で立っていた。

彼は黒い一眼レフのカメラを片手に持ち、細い目を左右に動かして景色に見入っている。

白い肌、長い鼻に、二重の瞼。均整のとれた顔形。セミロングの茶色の髪はサラサラで天使の輪が見える。
そう、彼はいわゆる美形と言われる顔をしていた。

もしも絵本の王子様が実際にいるのならばきっと彼のような姿をしているに違いない。

彼の名前は不二周助。

青学テニス部のレギュラーにして青学で『テニスの王子様』と言われる人物だ。

顔形の秀麗だけでなく、成績優秀、運動神経抜群、また柔らかな物腰をすることから、誰かがそうあだ名をつけたのが『王子様』と呼ばれる由縁となった。

ところが、不二本人の性格は至って飄々としており、テニス部一同から言わせれば青学テニス部1の変わり者、である。

また優しいことは優しいが、変わった性癖の持ち主でもある。なんと、好きな相手をいじめて楽しむ癖があるのだ。

その癖により、弟が家を出ていったことは青学テニス部一同で知らないものはいない。

どんな風かは知らないが、家を出るくらいだ。相当精神的に痛々しいいじめに違いない。

王子様と叫ぶ彼女達ははたして彼の本性をしっているのか、いないのか。

そんな彼はいつもの青いレギュラージャージではなくベージュのタートルネックに白いパンツスーツというラフな格好をしている。
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