アンケート小説

□嫉妬中につき取り扱い注意
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「桜乃?」

それは、とある雑踏の中での何気無いワンシーン

少なくとも、彼を除く周りの人間には――

確かにそれは何でもない光景だったのだ



――「跡部、どうしたんだ?」

晴れ渡った空の下――カラリとした太陽が明るく辺りを照らす午後。
氷帝学園のテニスコート脇でその天気と対比するように顔を曇らせるのは氷帝学園三年生の宍戸亮。
彼はトレードマークの帽子を浅く被り、タオルと飲み物を片手にいぶかしい表情をしている。
その視線はこの氷帝学園の生徒会長にして、テニス部の部長――跡部景吾に向けられていて。

「そんなの俺が聞きたいぜ。クソクソ!跡部めっ!いつにも増して容赦ねぇ〜!」

一方、宍戸に話し掛けられた青年、おかっぱ頭がよく似合う向日岳人はいつもの口癖と共にそう投げやりに返した。

しかし投げやりなのも仕方がない。

彼の体は汗だくで息も心なしか荒い。

いつもならそれは終盤に差し掛かった彼の状態なのだが・・・

「ただの打ち合いで、しかも能力値測るだけのラリーで何で氷の世界?!嫌がらせかよっ!!」

そう、宍戸がいぶかしんでいる跡部にこそその原因があったのだ。

今日はこの数日続いた雨がカラリと上がったいい天気。

久々に外で思い切り出来る打ち合いに宍戸達含めテニス部の生徒は皆心浮き立っていたのだ。

ところが――

「跡部の奴――いくらなんでも思い切り打ちすぎだぜ。あれじゃ、死人がでちまう。」

そう若干顔をひきつらせる宍戸――その彼の言葉通り、部が始まってから今まで、跡部は向かってくる部員を全て完封なきまでに叩きのめしているのだ

それが例え、向日のいう軽いラリーだったとしても。

いくら久々の外での活動とはいえ張り切るレベルを越えている。
跡部の投球に微妙に殺意を感じるのは宍戸の気のせいか――
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