アンケート小説

□神の子は桜に恋をする
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桜の舞い散る季節に、俺は彼女に出会った。

止まりそうになる真っ白な思考回路の中で、俺はまるで運命のようだ、と柄にもなく考えてしまっていた。


――「ぉ・・・い、ゅ・・・むら。おいっ!幸村!!」


「っ!!えっ?どうしたんだい?丸井。」

思わずボーッとしてしまいそうないい天気の午後。

立海大テニス部の部室全体に、丸井のそんな大きな声が響き渡った。

何故彼が、自分の近くにいるはずの人物に大声をあげているのか・・・その理由はもちろん、今惚けていた幸村精市という青年に気付いてもらうためである。

「どうしたんだい?じゃねぇだろうが・・・幸村〜。」

その幸村の返答に思わず呆れて座り込みそうになる赤毛の青年、丸井ブン太。

しかしそれも道理だろう。

何せ先程から再三、何度も丸井は幸村に声を掛けているというのに完璧なまでの無反応。

痺れを切らせて大声で叫んでみても当の本人はそんなことこれっぽちも気付いていなかった様子で反対に理由を尋ねられれば誰だって脱力したくもなる。


「もしかして・・・また例の『桜の精』のことでも考えとったんかのう?」


っとそんな二人のやり取りを今まで黙って見ていた仁王が突然会話に割って入ってきた。
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