お題&パラレル

□眠るきみに秘密の愛を
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素直な気持ちなんて大分昔に置いてきた。

真っ直ぐな想いなんてくすぐったいだけで何の面白みもありゃせん。

タイプの女は駆け引き上手。

昔誰かに聞かされた──『恋愛は押して引いての繰り返し。常に出す手は賭け事だ。』

ならば、同じ賭けなら上手な方が楽しいに決まっとる。

そう思っていた昔の自分が恨めしい。

眠るお前になら、本当の気持ち、言えそうじゃ──



──「待たせて悪かったのう、竜崎……んっ?」

土曜日の午後。
お昼が終わり、殆どの者が体を少し休め、次の行動へと備える時間帯。

立海大のテニス部レギュラー三年の仁王雅治は鷹のように鋭い眼孔を珍しく丸くさせて、テニス部の部室を見ていた。

いや、更に詳しく言うならば、彼はテニス部部室で眠りについている少女、を見ている。

その少女は長い三つ編みごとその体を自分のロッカーに寄りかからせながらスースーと寝息をたてて眠っていた。


(これは、これは……)
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