捧げ物

□出会いは突然に
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──「本当にすみませんでした!」

駅のプラットフォーム。
行き交う人々からは少し離れたところにある隅のベンチで、少女竜崎桜乃は深々とお辞儀をしていた。

「いや……本当に気にしないでくれ。俺は当然のことをしたまでだ。」

一方、お辞儀をされている真田は少女に顔を上げるように勧めていた。

何故、助けた真田と助けられた桜乃がこんな愚にもつかないやり取りを繰り広げているかと言うと、時間は1時間前に遡る。
あの後……痴漢を真田が怒涛の如く捻り上げた後。

真田は鉄道警察に事情を説明し、少女を無事に保護して貰ってから学校に向かうつもりだった。

ところが、自分の方に引き寄せた少女が突然、泣き出してしまったのだ。

まぁ、無理もない。

聞けば彼女は知り合いを訪ねにここに来たらしい、言わばここは彼女にとっては見知らぬ土地。

ただでさえ不安な中で、突然、行われた痴漢という下劣な犯罪。

少女の恐怖は募り、我慢の限界を超えて爆発してしまったのだろう。

それはよく分かる……が、問題はそこではなく、少女が真田の服をギュッと握ったまま離さなくなってしまったことにある。
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