†第1章†
□赤、始動。
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私は追われてた。
仕事を続けて来て、初めての失敗…
ローラー靴を器用に操り、何人もの敵をまいて行く。
『ノワール!』
声に呼応し、何処からか黒い兎が肩に飛び乗った。
(ナイス着地)
そのまま私達は窓辺へ向かい、高い建物から飛び降りる――
ボスッ!
落ちる事はなく大きな鳥に受け止められ、そのまま建物から離れてゆく。
『――ッと、ありがとヴィオレ!』
先程飛び降りた窓から何人かが身を乗り出し、悔しそうにしていた。
そのうちの1人が放った矢を小刀で難なく弾き返す。
(あっかんべー)
取り合えず、ヴィオレの背中に捕まり、携帯で連絡をとる事にした。
ピピッッ、ピッ
『司令官、Rです。調べてきましたよ』
「ご苦労。話は後で聞くから早く帰って来い、な?」
『はいはぁい。おやつ用意しててね!』
「あぁ、分かってるよ」
建物はどんどん遠く離れてゆく。
ヴィオレの背中が痛いかも、と思い靴を切り替えた。
ここからの景色は綺麗…風が心地よくて髪がなびく。
もぅ、隠れてばかりはいれないな…
そんな事を思いながら、自分の拠点、司令官が待つ家へ帰っていった。