novel・2
□あの時、あの季節
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俺達の代の卒業式。
長太郎は言った。
俺の隣は開けといてくれって
だから、待つぜ。
だって、俺だって
お前としかダブルス出来ねぇ。
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季節は春、なのに
季節外れの銀世界。
おかげで大会前なのに部活は休み。
1人、ジャージを着ながら壁打ちをする。
今日はそもそも登校日ではない。
なのに、何故か来てしまった。
いや、来なくてはいけなかった。
(-----------はぁ、まだ終わらねぇのか…)
こんな天気だから、やることは限られている。
暇すぎた。
「……寒いな。」
冷たくなった肩を擦りながら、部室に入ろうとしたら
「宍戸さんっ!!!」
「!!」
走ってくる銀の綺麗な髪が揺れている…
一年前に見慣れた光景。
「…長太郎…」
「へへ、今終わりましたFあっ、宍戸さん鼻真っ赤ですよ?ずっと外に居たんですか!?」
「わ、わりぃかよ////」
「風邪、引いてしまいます。さっ、これきてください」
長太郎は自分の着ていたコートを脱ぐ。
「お、おいっ!本当に大丈夫だか、ら………………お前、それ……」
コートのしたから見える高等部の制服。
「へへ、ど、うですか……?」
「…………似合、ってる、ぜっ…」
「宍戸さん、なぁに泣いてんですか?」
「だって、長………一年…長いんだよっ………」
「はい」
「寂しいに…決まってるだろ…」
たった一年、じゃなく一年も…………
「激ダサ、ですよ」
「あほっ…ばかっ……」
「ごめんなさい、それとありがとうございます。」
お前の為じゃねぇからな………声にはださねぇけど…
けど、今だけは…そう思う。
「おめでと…………長太郎。」
「ありがとう、ございます…またダブルス組めますね…」
「あぁ!!」
すべてはお前の為だ…
って最終的には折れる俺。
おめでとう、長太郎
そして、よろしく
恋人(アイボウ)
END
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