僕だけの暗号U
□present for you
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「たっちょん、今日はありがとう。」
「ふふ、喜んでもらえた?」
「おん!もぅめっちゃ楽しかった!」
「ほんならよかったわぁー。」
ベッドに入って後は眠るだけ。
もぅこの時間になったんやな。
充実しすぎて時間はあっという間に過ぎてった。
今日は9月11日。
僕の誕生日。
たっちょんはわざわざ今日のスケジュールを空けといてくれた。
その優しさだけでも充分嬉しいのに、買い物に誘ってくれて、洋服やらアクセサリーやらを買ってくれた。
帰り道はプレゼントをいっぱい持って。
別にプレゼントいっぱい買ってくれたんが嬉しかったわけやない。
たっちょんが僕のために時間を使ってくれてるってことが嬉しかった。
んーなんていうんやろ、僕を喜ばそうとしてくれてるたっちょんの気持ちが嬉しい、みたいな感じ。
夜ご飯はごちそうを作ってくれて、誕生日ケーキはいちごいっぱいのタルト。
大好きなたっちょんが、僕の誕生日を大好きなものでいっぱいにしてくれた。
大好きなものばっかりで僕は幸せもんや。
そんで、9月11日が終わる瞬間まで、大好きな恋人がいてくれてる。
その幸せを肌で感じるように、向かい合ってたたっちょんに擦り寄るとふんわり抱き締めてくれた。
「やすの幸せそうな顔、こっちまで嬉しくなる。」
「その幸せくれてんのはたっちょんやで?」
「‥‥あかんそんなセリフ。照れてしまうわ。」
たっちょんを見上げると、意外と近い距離で視線がぶつかって、暗くてようわからんけどほんのり顔が赤くなってるように見えた。
いつも僕のこと可愛いとか言うけど、そんなたっちょんやって僕からしたら可愛いもん。
「また年離れてもうたなぁー。年ばっかりは近づけられんね。」
こんなちっちゃいのに年上なんてぇーっ。
言うてきつく抱き込められた。
年と小ささ関係ないやろ?
そう思ったから言うたら、
「関係あんねん、俺ん中では。」
やって。
「たっちょんわけわからん。」
そう言って笑うと、たっちょんもむふふって笑った。
いっぱいのプレゼントも、
手作りのごちそうも、
大好物のいちごタルトも、
全部最高に嬉しかった。
でも僕は、こんなふうに他愛無いことで笑って、くだらない話をして、お互いに好きだよって言い合うような、そんな空間が一番幸せを感じる。
その幸せをくれるのは、今僕を腕の中に収めてくれてる恋人。
この恋人が僕のそばに居ってくれることがなによりのプレゼントやなって、そう思う。
だんだんうとうとしてきた中で、最後にたっちょんの声が聞こえて僕の誕生日は終わった。
「ハッピーバスデー、やす。愛してんで。」
end
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