僕だけの暗号U

□だんだん俺も宮田系に
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「たまぁー?さっさと風呂入っちゃえよぉー。」


「‥‥‥んー‥」



あーぁ、やっぱ寝ちゃったじゃん。
食べた後はどうしても眠くなっちゃうけどさ、わかるけどさ。
今寝ると夜ちゃんと寝れないの、たまが一番よくわかってんだろ。


洗い物を済ませて、たまが眠ってるソファに近づく。
しゃがんで頬を撫でてもまったく気付かない。


本格的に眠りに入ってるじゃん、これ。


無理矢理起こしても機嫌悪くなっちゃうんだもんなぁー。
ま、そういう子供っぽいとこも込みで大好きなんだけどね。


しかしなんでこう、寝顔っていうのは俺の心を癒してくれるんだろう。
見てるだけで幸せな気持ちになる。
こんな可愛い寝顔、こんな近くで眺めてられるのは俺だけだもんねー。



顔の前で半開きになってるたまの手がぴくっと動いた。
何気なくその手の中に人差し指を乗せてみる。と。

弱々しく俺の指を握るたまの手。


へ?なにこれ。


視線を顔に戻してみたけど、目は閉じたまま。指は握られたまま。
引っこ抜いてみようと腕に軽く力を入れてみると、きゅ、と少し強く指を握られた。




‥‥‥太ちゃん萌えました。






普段あんなにツンツンしてるたまちゃんが、眠ってる時こんな可愛いことするなんて‥!
萌えと同時に感動すら覚えましたわ、僕。


これ宮田にはぜってぇ教えないでおこ。


いや待て。もはやもぅあいつは知ってるんだろうか。
いやいやいやないないない。
あいつのことだ、こんな素敵なもの発見したら大騒ぎしてるはず。
ましてや、俺はたまの恋人だぞ?そんな俺にはいち早く報告してきてるであろう。





まぁなんにせよ、このことは誰にも言わないで俺だけのお楽しみにしよう。
たまにも内緒。









「がやなに一人で笑ってんの。」


「‥え、ぁ、たま起きたの‥?」

「こんな目の前にいるくせに起きたことにも気付かないなんて、何考えてたんだか。」



あぁー、ファンの子達に見せてあげたいその気持ち悪いにやけっ面。



ぐさぐさと俺の心に鋭利な言葉を刺しながらソファから起きだした。




痛い、痛いよ裕太くん。




「がやぁー、アイス食べたい。買いに行こ。」


「アイスぅ?‥‥あ、ちょ、こら待て。」







こんなわがままだけど、さっきの出来事を思い出すと、つい顔が綻んじゃう。


これからはお昼寝もうたた寝も大目に見てあーげよ。








「‥‥まじでなんでさっきから一人でにやけてんの?」


「なーいしょっ。」











end
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