小説
□ワカメの日
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「ううぅぅぅ〜…」
ペタペタ…
「てぃな〜、ぴかちゅ〜…」
歩くたび左右に揺れる緑色の物体。
そのポケモン?はティナ達がいるサメハダ岩の所まで来ると、迷わず入っていった。
「うわぁぁあああ!!?ワカメお化けぇぇえええ!!?」
「オチツケ」
喚き散らし、錯乱するピカチュウにチョップで黙らせるティナ。
「えーと…どちら様?」
床に転がるピカチュウを無視して、本題に入る。
「ぅぅう…てぃなー!」
ワカメはティナに抱き付いた。
僅かに震えている所を見ると泣いているようである。
「その声…フィオネちゃん!?」
いったいどうしたの、と聞く前に、フィオネは泣き出してしまった。
「うあああぁぁああ…」
「あー…大丈夫大丈夫。ここまでよく頑張ったね。」
ティナは優しく頭を撫でてやると、抱き締めた。
少し落ち着いたフィオネに理由を聞くと、どうやら海で楽しく泳いでいたら、大量のワカメが流れて来て飲み込まれたらしい。
何故大量のワカメが流れて来たのかは不明である。
しかし、それだけの大量のワカメならばまだまだ被害者はいそうだ。
「…まさか、皆もこんな事になってるのかな…?」
フィオネに絡み付いたワカメを取り除きながら、海に住む仲間達が思い浮かんだ。
(ワカメを顔に絡み付かせた皆か……シュール過ぎるな…。)
「それにしても、この大量のワカメ…。どうしよう…
使い道がわからん;」
「取り敢えず、干しとく?」
「うん。干しとこう
所で、ピカチュウ」
「うん?」
「後ろ、見てみなよ」
ピカチュウが振り向くと、そこには巨大な緑の物体がいくつか佇んでいた。
しかも、水滴が垂れている事から海から直接此処に来たようである。
「うわぁぁぁああああ!!!わ、ワカメ怪じ…!!」
「違うっつの」
『取り敢えず、取ってくれ』
2匹の漫才をものともせずに、ワカメまみれの伝説ポケモン達は切実な願いを打ち明けた。
「皆も大変だったねー」
「まったくだ」
「何故、私があんな目に…」
落ち着いたとは言っても、やはりまだワカメに飲み込まれた恐怖が残っているようで、ティナがワカメを取っている間もフィオネは抱き付いて離れようとしない。
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