片目兎
□過去編 新しい家族
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透哉が死んだときわたしはその場でずっと泣き続けていた
冷たい透哉の傍から離れたくなかった
『うっ…うっ…うぅっ……とぉ…や……。』
家族を失ってこの冷たい牢獄に入れられたときわたしは辛くて仕方なかった。
でもそこに透哉がいたからこそわたしは笑ってこれた。
透哉が…わたしの太陽だった
冷たかった牢獄が暖かく感じた…
透哉が隣にいたから笑えた。
透哉がいたから辛いことも乗り越えれた
わたしの……太陽が沈んだ
わたしが…殺した…
あの刀で透哉を刺した感触がまだ残ってる
なんでわたしはあのとき、察せなかったのだろう。
刀をわたしに握らせたときなんですぐに手を払わなかったんだろう………
ただその場で泣き崩れるしかなかった
パチパチパチ
前から拍手する男達…
「見事だった。9432−G、まさか0432−Mを倒すとはな…相打ちを予想していたんだがな…」
男達を睨みつける
憎しみでいっぱいだった。
いや、それ以外の感情はなかった
“殺してやる”
そう思っていた。
「おぉっと抵抗しないほうがいいぞ。お前のその首輪がどういう構造かわかっているだろう」
…わかってる。
スイッチ一つでわたしを殺すことができる
それでも…
ギリッっと唇をかみ締める
するとふと透哉の言った言葉が頭によぎる
――いいから殺れ!じゃねーと両方殺される!!そんなの嫌なんだ!!俺の分まで生きろ…!
望愛――
。