片目兎

□過去編 幸せは全て崩れた
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わたしの親はすごく仲がよかった。


優しい夜狐羅のおばあちゃんに、


優しいお母さん


怒ったら怖いけど優しいお父さん



近所からもすごく評判の良い家族だった





それに――…大好きだった。


この幸せがずーーっとずーーっと続くと思ってたんだ






でも、それもたったの5年で終わった







ある日のことだった。





わたしがおつかいから帰ってくると誰もいない




『あれ…?お母さん?お父さん?おばあちゃん?』


なんで…いないの?



さっきまではいたのに。すぐ帰ってくるから待っててねって言ったのに。



不安がよぎった



奥へ奥へ入っていく



すると嗅いだことのない匂いが…すごく鉄臭い…


気持ち悪い…



ピチャッ



台所を見るとわたしの眼は大きく広がった



こんな光景見たくなかった。信じたくなかった…




目の前には無残に殺された大好きな家族が横たわっていた


なんで寝てるの?
ベッドはあっちだよ
『お母さん!お父さん!おばあちゃん!風邪ひくよ?』


体をゆさってみる



でも返事もない。



すごく不安になった



ねぇいつもみたいに抱きしめて…お母さん


お父さん、いつもみたいに大きい手で頭を撫でてよ


おばあちゃん、いつもみたいに笑ってよ…





ヌルッ


掌を見ると赤い液体が


おばあちゃんや、お母さんや、お父さんからいっぱいでてる










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