また、だ。 この違和感を覚え始めてからどれ程の時が経ったのだろう。最初は先生達だった。あからさまに私を避ける。以前はよく係りの仕事を任せてきた先生でさえ今では目も合わせてくれない。変わってしまった。 私はそれからというもの避けられている原因を考えていた。嫌われている、というわけではないようなのだ。強いて言えばまるで私の後ろに居る誰かを恐れているような…。 「遊戯くん!あれ、いない」 教室の戸をいつものように開けると、そこに遊戯たちの姿はなかった。どんどん離れていくクラスメイト。だが、遊戯達は決して私に対する態度を変えることはなかった。 「海馬くん、遊戯君達がどこに行ったか知ってる?」 「遊戯か。今日は大会だとか凡骨と共にほざいていたな」 「あ、そっか」 遊戯くんも城之内くんもデュエル好きだものね。 「海馬くんは行かなくていいの?」 「ふん、低レベルなお遊びになど興味は無い」 「意外だなー。遊戯くんがいる大会にはいつも出てるんだと思ってた」 「貴様はやらんのか?」 「え?」 制服とは不釣り合いなジュラルミンケースから何枚かのカードが選ばれる。 「これを貴様にやろう」 「いいの?」 いつも見ているばかりだったカードが自分の手の中にある。それだけで嬉しかった。 「もし興味があるのならばついてこい。俺の誇りを見せてやる」 「うん。ありがとう、海馬くん!」 浮かれて返事をした私は薄らと思っていた。海馬くんも数少ない変わらない人だ、と。 影の権力者 |