ゆめ

□絶対零度
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「暑い暑い暑い!」



吹雪の暑苦しい髪を見て思わず指差してしまった。だって、この暑い時に何であんな長い髪してるのよ。邪魔な上にあんた男でしょ?
現在、晴天。太陽を遮るものはなく、直射日光を浴びている状態。蒸し暑くて死にそう。それが、率直な感想。そんな中、長袖の制服着てるなんてありえない。今日こそ、アロハ着なさいよ!!バナナボートでも半ズボンでも許してやるわよ!!もう!!暑い暑い暑い!



「どうしてそんなにイライラしてるんだい?」


「何でそんなに平然としてるのよ。見てるこっちが暑くなるわ。」



吹雪を見ていたら温度が10℃上がったように錯覚してしまう。もう相手にするのは止めるわ。私のライフが0になる前に日陰に入るのよ!


「ちょっと待って!どこに行くんだい?」


「日陰よ、ひ・か・げ!」



吹雪を華麗にスルーして…って、ついてきてる!?ちっ、こいつ歩くの早いぞ。逃げ切れないか。後ろにぴったりついてきてるものね。走ったら暑くなってしまうし、もう最悪だ。お前はストーカイザーか!早く日陰に入らないと干からびる。溶ける。もう嫌だ!!ほら、だんだん視界がぼやけてきた。頭だってクラクラ…?日陰に着いた瞬間、私に限界がきたみたい。どうしよう、後ろからあの暑苦しい吹雪がついてきてるっていうのに……。ぼんやりそんなことを考えている内に目の前が真っ暗になった。





「大丈夫かい?」



冷んやりとした感覚。何か聞こえた?涼しい…?私、どうしたんだったかな?あぁ、暑くて暑くて倒れちゃったんだ。これもみんな吹雪のせいだ。あんな暑苦しい格好をして。そうだ、ヤバイ。ずっと吹雪がついてきてたの忘れてた。早く起きないと…!



「目が覚めた?」


「え。」



目を開けた瞬間に飛び込んできたのはあのストーカイザー紛いのあの男。



「近付くな、暑苦しい!」


「まだ暑いの?」



そういえば、ここはどこだろう?確かに先程までの暑さは全くない。それどころか布団に寝ていても寒い。保健室ではなさそうだし、もちろん私の部屋でもない。まさか…。



「吹雪…?」



私の頬にそっと吹雪が触れる。その手は想像以上に冷たかった。吹雪がこんなに冷たいなんて思ってもいなかった。見てるだけだとただただ暑苦しくて。そんなことを考えていたら抵抗するのを忘れていた。



「全く、君は無防備なんだから。ここは僕の部屋で、君が寝ているのは僕のベッド。それを分かっているのかな…?」



簡単に奪われてしまった唇は…吹雪の体温と同じになった。






絶対







 

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