□呼び出し
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兵助は今裏山に来ていた

恋仲から手紙を貰い、まだ夏休みに課題として出されたナルト城の軒丸瓦を盗んでくるさいに負った傷が完治にはまだまだ遠い状態だった
だが呼ばれた以上この身を引きずってでも行かねばならない




「なんですか、こんなところに呼び出して」

指定された場所に行く
すると木陰から出てきたのはサラサラの長い髪が風になびき、見るものを魅力する白い肌が陽によく当たりより映える


「ふ…もう傷は大丈夫なのか?」

6年い組優秀で焙烙火矢を主に使う立花仙蔵の姿があった

「お陰さまで傷はまだ完治していませんが、先輩に呼ばれたので来ました」


嫌み気にトゲがあるように言う兵助に仙蔵は何かを企むように微笑む

「そうか、なら呼ばない方が良かったか?」

「な!そんなこと…!!」


そしてそこまで言って兵助は気づく
自分は何を言っているのだ
これ以上言ったら立花先輩の思うつぼだ
だけど中々素直になれない自分
本当は…

「手紙嬉しかったけどさ…」
蚊の鳴くような小さい声で呟く
そこでハッとなる。自分は何を言った?

『嬉しかった』

そう呟いた
一気に恥ずかしくなり、ゆっくりと仙蔵の方を見ると先程の呟きが聞こえていたのか仙蔵は笑っていた

「あ、いや!先程のは!!」

顔を真っ赤にし弁解をする兵助の腕を引っ張り仙蔵は自分の胸の方に引き寄せ、兵助を胸の中にしまった

「せ、先輩!?」

「たく、お前は相変わらず素直ではないんだな」


兵助の肩に顔をうずめ、先程よりも腕に力をいれ大切なモノを絶対離さないように強く抱き締める
仙蔵が息をするたびに首に息がかかりくすぐったい

「先輩…」

兵助は戸惑いながら仙蔵の背中に腕を回し、応えるように優しく抱き締めた


「私は嬉しいよ」

「え?」

相変わらず肩に顔をうずくめたままだったがなぜだか表情が分かる


「お前を初めて見た時から私はお前に惚れていた」

「!!」


「委員長代理で、そのプレッシャーだってあるのに、お前は私たち我々6年と変わらないような凛々しく後輩に指示をしていた」

「…」

「すぐにでも壊れてしまいそうな体なのにお前は立派に努めていた。その姿を見て私はお前に惹かれた」


兵助は先程以上に段々と体温が上がっていくのを感じた
仙蔵は顔をあげ、二人の目と目が合う

目の前に綺麗に整った顔が目の前にあり、仙蔵は今自分にしか見せない優しい笑顔をしていた

多分今の自分の顔は酷いのだろう。と思い顔を背けようとすると、仙蔵はそれを許してくれず兵助の両頬に手を沿え自分の方を向かせる


「先輩…」


「兵助、お前が好きだ。絶対離さない」

改めての仙蔵の告白に胸の鼓動が早くなる
仙蔵と一緒にいれば毎回こうなのでドキドキし過ぎていつか心臓が壊れてしまうのではないのかと思ってしまう


「お前はどうだ?」

「私も…先輩のことが…」
続きを言おうとすると、兵助を呼ぶ声が聞こえてきて、段々とこちらに近づいてきた
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