□幸せの時間
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桜も散り始めた日

六年生6人は裏々山に来ていた
それぞれの手元には食堂のおばちゃんに頼み、お昼に作ってもらった弁当を持っている


「桜は散っちゃったけど、たまにはこういうお昼も良いよね」


伊作はご飯に手をつけながら話始めた

「そうだな。私もこういうのならたまになら良いと思う」

珍しく仙蔵も同意をしていた
だが木にもたれ木陰で静かに景色を見ながら食べているのは伊作・仙蔵・長次だけだった

食満・文次郎・小平太は各々の弁当のオカズの取り合いをしていた


「それ私がいただき!!」

「おい小平太!それオレのだ!!」

「アッハハハ!早い者勝ちだ!!」

「お前ら静かには食えんのか!!」

「うるさい食満!ならお前のオカズをよこせ!!」

「なんでオレの取る!お前は鉄粉おにぎりでも食べてろ!!」


ギャーギャー騒ぎながら食べているのを伊作は
「またやってるね」
と思うが、仙蔵は
「五月蝿い。静かには食えんのか」
と思っていた


「みんな、相変わらずだよね」

「相変わらずすぎて学習をすることが無いのか?今すぐにでも砲烙火矢を投げつけたいのだが」


仙蔵なら本気で殺りかねないので伊作は慌てて止める
長次も黙りながらも仙蔵を止めさすのを手伝ってくれた


「冗談だ」

「仙蔵の冗談は冗談に聞こえないよ…」


仙蔵は伊作をからかえたことに満足したのか笑っていた


6人とも弁当を食べ終え、風景を楽しんでいた

まだ冷たい風が頬をなで気持ち良い



6年

今は仲が良いが来年には皆敵となってしまう

もしかしたら皆と殺し合うかもしれない



「やっぱり、この仲間でいるのが一番落ち着くや」

伊作の呟きに長次も頷いてくれた


すると、いきなり小平太が立ち上がり走り出した

食後の運動でもするのかと思っているとすぐに皆の元に戻ってきた

だが戻ってきた時には行った時には無かったものが小平太の手の中にあった

それは黄色く太陽みたいに輝く綺麗なタンポポを数本手にしていた


「どうしたの小平太?」

小平太は長次の前に立ち長次の頭巾と髪の間にタンポポを一輪刺した

「アッハハハ!似合うぞ長次!!」

「…………そうか」

長次の頭巾に綺麗に輝くタンポポ
それを見て皆が笑っていた

長次も立ち上がり、小平太の手からタンポポを一輪取り、先ほど自分もされたように小平太にもタンポポを刺した


「………小平太の方が似合う」


「確かに小平太ってタンポポって感じするよね」

伊作は笑ながら小平太を見る

「なんで私が似合うんだ?」

小平太はタンポポを見る

すると食満が口を開いた

「なんかタンポポって太陽って感じするもんな」

「そうと考えれば小平太はタンポポの感じがするな」

「そうだな。タンポポって明るいしな」

仙蔵と文次郎も同意する

小平太は首を傾げる
似ているのか?と思う
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