□雷
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忍者たるもの怖いものがあってはならない


そう自分で思い込んで頑張ってきた



だけど………



人に怖いものはある


『雷』




5年の長屋




一人きりの部屋

空からは鉛色の空からは銀色の閃光が走る
そして激しい音


暗い部屋の中音と光が分からないように部屋の真ん中には布団がしかれてあり、丸く盛り上がっていた


兵助は涙目になりながら布団を握りしめる

怖くない怖くない
あんなの光ってるだけじゃないか

と自分に思い込ませるが、無理だった


怖い怖い怖い!!!

布団をさっきよりも強く握りしめる


涙がうすらと出てきた


はっちゃん…


好きな人の名前を心の中で呟く

はっちゃんが側にいてくれたら…


そんなことを考えるだけ無駄だし自分で考えて虚しくなる


だが無意識の内に考えてもらう


抱き締めてほしい
頭を撫でてほしい



だけどそれは叶わないこと


無理矢理にでも寝ようと頑張る


だが、恐怖心の方が大きく寝付けない



明日寝不足だな…と思っていると、いきなり戸が開いた音がした


誰だ?
と思い恐る恐る布団から顔を出す


「へーすけ。大丈夫か?」

「はっちゃ…ん!?」
それは、先ほどまで叶わないと思っていた人物だった

一瞬夢かと思った



「我慢、しなくても良いのに」

そういい竹谷は布団を剥がした

そこで、ようやく顔と顔が見合い夢じゃないと分かった


竹谷は兵助の布団の中に入ってきた


兵助は突然のことに焦る

「は、はっちゃん!?なに!!?」


そんな事は関係なしに竹谷は寝転び、兵助の頭を浮かせて、その間に腕をいれる

「ほらほら。我慢するなってオレが寝てからも側にいるから安心しろ。」


固い腕だが安心する腕を枕にし、竹谷は片方の腕で兵助を引き寄せ背中に手を回し、テンポよく優しく叩く

まるで小さい子をあやすように


目の前には好きな人の胸板
それだけで兵助は緊張して眠れない

すると竹谷の心臓の音が聞こえる

その鼓動はやや早く聞こえた

はっちゃんも緊張してる?


そう思い顔をあげると、ほのかに赤い竹谷の顔

視線で気づいたのか竹谷は背中を叩くのを止め、頭を撫で始めた
「まぁ、寝ようか。兵助が寝るまでずっと、起きててやるからさ」


いつもの、柔らかい笑顔


それだけで兵助の鼓動は先ほどより早くなる



だが、竹谷の手の温もりが気持ち良く眠りの波がやってくる



そして兵助はそのまま目を閉じ、意識を眠りへと向けた







「寝たか…」


少ししてから竹谷は兵助の顔を覗きこんだ

安心したような顔をして眠っている兵助


まつ毛が長く、女みたいに整った顔
その寝顔にムラムラきた竹谷


頑張れ俺の理性!!!


襲いたくなる衝動を必死に抑える


「はっ、ちゃ…ん……」


1人頑張ってるなか兵助の寝言

理性を保とうとしている竹谷にはキツい不意打ちな攻撃


手を出したいが我慢我慢


竹谷は兵助の頭に密かにキスをする



くすぐったそうな顔をした兵助
だが幸せそうな寝顔



竹谷もその寝顔を見ながら眠りについた







いつの間にか雷は止んでいた




こんな夜があるなら兵助は雷も悪くないと思った









 

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