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私は、ペットみたいなのを手に入れた。
動物としての種類は、猫みたいな感じ。
なぜ曖昧なのかって。
だって、そのペットみたいなのは、人間だったのだから。
01:それはある日突然に
「ねぇ、これどうやって使うの」
「…DVDプレイヤーの使い方くらいわかろうよ」
必要ないから知らなくて良い、と返すのに嘆息しながら、私は取り出しボタンを押した。
会社帰り、マンションのエントランスでこの子を拾ったのは5日前。学ランを肩に羽織って、雨に塗れていた。
髪からぽたぽた落ちる滴に不憫に思い、声をかけたのが間違い。
――ねぇ、こんなところでどうしたの?
――…、あなたを待ってた
――は?
そのまま手首を掴まれ、家に上がられ、風呂を使われ、ソファと毛布を使われ、
…スペアキーを盗られて。
そして今、なぜか横で映画を見ている。
制服で、並盛中の子だとわかった。
2日めに、当然のように夕食を平らげた後に名前を聞いてみたら、雲雀恭弥だと名乗られた。
彼が並盛の支配者だと発覚した。
…追い出す気が萎えた。
どこから持ってくるのやら日々荷物は増えていき、あれよあれよという間に部屋の一角に彼のテリトリーができてしまった。
初対面の人の家に住みつく理由がわからない。
だが、私はどこかで彼と会ったことがあるような気がするのだ。