その他ー
□拍手
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『七夕ってね、一年に一度だけ好きな人に会える日なんだって』
電話越しに聞こえるキミの声に、不思議と頬が緩んだ。
微かに聞こえる音楽に、音楽を聞いてたのか、そう尋ねると小さく笑い声が聞こえた。
『大我は、好きな人に一年しか会えないとしたらどうする?』
「・・・・お前は、どうすんだよ」
『質問したのはこっちなのに・・・』
「お前は好きな人がいるのか?」
『んー、内緒』
「んだよ、それ」
『大我は・・・好きな人とかいないの?』
「関係ねぇだろ!」
ついカッとなって声を上げてしまい、すぐにわりぃと謝った。ううん、大丈夫なんて聞こえたが心なしか悲しそうだった。
くそ、何してんだよ俺
『やっぱりね、一年に一度なんて耐えられないよ』
だって一年って365日もあるんだよ、
「俺はもし、お前に一年に一度しか会えなくても」
ずっと好きでいる、出かけた言葉は言葉にならずに消えていった。
自分がこんなに意気地なしだったとは、思ってもみなかった。否、こんなに好きな人などいなかったのほうが正解かもしれない。
『私はね、大我に会えなくてもいいよ』
「っ、」
彼女から、そんな言葉が出るなんて思ってもみなかった。いつも笑ってて、いつも優しかったから。
『大我が幸せだったら、それでいいの』
「お前がいないのに幸せなんてなれねぇよ」
『え、?』
「お前が、傍にいてくれることが俺の幸せだ」
どうか、彼女が俺の前からいなくならないようにと
柄でもなく星に願った
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