Sentimentalisme
□僕しか知らない
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朝練にサボらずに行った。来ないと来ないで、何かしら言われるが、行ったら行ったで視線が痛い。
まぁ、今に始まった事じゃあないから特に気になるというわけじゃないが、やりづらい。
『あれれれ?そこにいるのは青峰君じゃあないですか』
「んでいるんだよ」
『ふふふー気になっちゃいます?』
「・・・・別に。てかなんだそのテンション」
あまりに高すぎるテンションは俺を不幸にすることを、コイツは知らない。
コイツのこのテンションでいいことがあった験しがない。
それに、頬に張ってある絆創膏に顔をしかめる。後が残ったら、どうすんだ、そうコイツに言うと屈託のないへにゃとした笑いが返ってきた。
あの後どうやら犯人は捕まったらしい。
『あはっ』
「救急車でも呼ぶか」
『ちょ、ちょっと待って!電話しないで!大丈夫だから、正常です!』
「で、なんでいるんだよ」
『そこなんだよ、近々誠凛に行くの!』
「はぁ!?」
『いいでしょー。偵察!』
「偵察ってお前、ルールも知らないだろ」
『そこんとこは問題ナッシング!』
ビシッと人差し指を突きたてて、かなり自慢げな顔してやがる。
異常なまでのテンションに突き出された人差し指を下ろさせた。
そこにもまた絆創膏が張られており、視線を外した。
『さつきちゃんと行くから!』
「いや、お前邪魔だろ」
『うわ、なんか今日機嫌悪い』
「お前のせいだろ」
『はい?え、私!?なんで?』
「あー、もういい。うるさい」
『ちょっと!』
「そんなことより、指が痛いんだけど」
『え、この間の?たたたた大変!ど、どうしよう。そうだ、救急車!』
「嘘」
『え、』
「冗談だっつーの」
ぽかんと口を開いてフリーズしているだろう顔はなんとも、アホ面。
噴出して笑っていると、怒った声が聞こえてきた。
僕しか知らない
幸せな出来事