Sentimentalisme

□心配性のあの子
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五時間目、どうにもやる気が出なくてサボった。あー、確か体育だった気がする。
そーいや、なんか言ってたなバスケ教えてとか。

たまたま体育館の前をフラフラとしてた。
別に気になったとかそういうのじゃないからな

やけに人が集まってた。なんかやってんのか?
隙間から、少し見える横たわっている人。なんだ、誰か倒れたのかよ。つまんねー

チラリと見えた足についていたミサンガに、嫌な予感がした。
あいつのだ、



「おい、そこ開けろ」


人だかりをかきわけるように、あいつのところへと行くと
予想通りに、座り込む##NAME1##がいた。周りには割れたガラスと破片があって、あちこちに切傷があった。



「んだよ、これ!」

「あ、青峰・・・。突然ガラスが割れて、##NAME1##さんに・・・」



突然ガラスが割れた?んなわけねーだろ。



『青峰君じゃん。どしたの?』


怪我してるってのに、泣く素振も、驚く素振も見せずに、ただ淡々と笑って話しかけてくる##NAME1##に嫌気がさした。
んで、笑ってんだよ・・・



『ちょ、ちょっと!なにして、』


これでもかというぐらいに、粉々に割れたガラスの破片に素手で荒々しく掻き分けた。
ちくりと指先に痛みが走ったが、構わずに破片を掻き分けた。



『やめてってば!青峰君、手が・・!』

「黙ってろ」

『血が、やめてよ、』

「あった・・・」


ガラスの中に灰色の弾のようなものがあった。これだ、
誰かが、ガラスを割った。誰かなんて、すぐ見つけてやるよ



「これ、もってろ」

『なに、これ』

「ハッ、なんかの弾だろ」

無くならない様に、##NAME1##に手渡すと複雑そうな顔して受け取った。

ガラスからやっと手を放すと、思った以上に血が出ていた。
げ、刺さってんじゃん。深く刺さっているところもあれば、引っ掛けたところもあり血がとどめなくあふれてきた。



「おら、立てるか?」

『青峰君、手が・・・!』

「んだよ立てねぇのかよ、」



真っ青な顔して、俺の手を見つめている##NAME1##を、血が服に付かないように持ち上げる。



『ちょっと!何してっ』

「おい、動くなよ!血が付くだろ」

『そういう問題じゃないでしょ!』



どうでもいいから降ろしてよ、しばらく騒いでたけどしばらくすると静かになった。
あー、うるさかった



『せめて、ご飯前・・・』

「あ?」

『だって、私重いでしょ!』

「あー、かなり重いな」

『おーろーしーてー』



恥ずかしそうに、顔を伏せている。本当はそんなに重くない、と思う。
むしろ軽いんじゃねぇか?んなこと死んでも言わねぇけど



「すんませーん、手当てって、誰もいねぇし」

『っていうか!』


保健室に着いたはいいが、肝心の先生はいなかった。
椅子にとりあえず座らせて、消毒液と絆創膏を手に取った。



『青峰君ってほんとバカ』

「ば、バカって何だよ」

『青峰君の方が、怪我してる』

「お、おい!んで泣いてんだよ」



気づいた時には肩を揺らし、瞳から大粒の涙がこぼしていた。んだよ、意味わかんねぇ
消毒液がたまに俺の傷口にもかかり、少し痛かった。



『い、たいってば!』

「我慢しろ」

『痛い痛い痛い痛い!』

「あー、もううるせぇ!」

『てか、青峰君も手怪我してるしっ!』


仕返しといわんばかりに、消毒液を大量にぶちまけた。ヒリヒリとした。



『あはは、ザマーミロ!』

「お前な、」

『自業自得ですよー』

「はぁ…」


悪戯する子供のような顔して、笑うあいつ。なんつーか、やっぱ泣いてる顔よりはいいな



「何してるの!?」

『「あ」』



アイツは今日も笑う


.

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