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□透白の眼
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ピピピピピピ…!
小さな音を響かせるデジタル時計のアラーム。
明け方四時。
男は起き上がり、アラームを止め、近くにあった眼鏡をかける。
まだ夜が明けきっていない薄暗い空。
当然、誰もがまだ眠っている時間だ。
男は白衣と小バックを掴むと静かに部屋を出て、足早にどこかへと向かう。
かなり長い道のりを歩いた。
そして、"立入禁止"と書かれた紙が貼ってある扉の前で足を止める。
男は小バックから鍵の束を取り出し、頑丈に取り付けられた錠を一つ一つ外してゆく。
サルリマ団第三支部。
サルリマ団本部の敷地内に有る為、距離はそう遠くない。
その地下の一室。
誰もが近寄ろうとしない。
それは、謎の生体が侵食した間だからだ。
――そこに入れば自分も無事では済まない。
そんなオーラを放っている。
男は錠を全て外し終わると、白衣を着て、小バックから手術用の手袋を取り出し手に付けた。
一人先が見えない闇の部屋に足を運ばせた。