その他短編

□逃避、鈍感、気付いてよ
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ああ、まただ。この感覚

「で、今度は何?」

「レッドさんが…」

レッドさんへの嫉妬を自覚して以来ヤケにイライラすることが増えた。

オマケに最近イエローはレッドさんの話ばか
りしている。

ついこの間会えたのがそんなに嬉しかったのだろうか

「へぇ…良かったね」

「ハイ!!」

あぁ、もう暫く旅に出よう。

うん、それがいい。そうでもしないとその内レッドさんに何かしでかすかもしれない。

「あ、レインさん。実は三日後からレッドさん達と少し旅行に行くんです」

「ふーん。楽しんでおいでよ」

丁度良い、その間に僕も出かけるとしよう。

「二泊三日何ですけど、レインさんは…」

「大丈夫、僕も少し旅行に行くから」

いつ帰るか分からないけどね。

「そうですか…」

ありゃ?大丈夫と言ったのにどうして表情が晴れないんだろ

「うん、だから安心して楽しんでおいで」

とりあえず、逃避…じゃない旅行の準備をしよう




「行ってきますね、レインさん」

「行ってらっしゃい。大丈夫だとは思うけどレッドさん達に迷惑をかけないよう気を付けてね」

イエローを見送る。

さて、僕も行くとしよう。次にイエローと会うのはいつになるだろうなぁ…。




そしてレインは三週間もの間帰ることはなく、イエローを存分に心配させたのである。

「レインさん!!心配したんですよ!!」

「うん、ゴメン…。そこまで心配されるとは思ってなかった。」

レインが旅に出てから二週間が経った頃、イエローは他の図鑑保有者達にレインの捜索を頼んだのだ。

そして三週間目、ブルーに見つかり強制送還されたのである。

途中、レッドとゴールドにも見付かったが二人は撃退、ブルーには罠にかけられて捕まってしまったのだ。

「まさか図鑑保有者達まで探しに来るとは思わなかったよ…」

「それだけ皆心配したんですよ」

「そこまで弱くないんだけどなぁ…」

レインはポケモンバトルが上手い。

レッドとゴールドを撃退できるくらいに

グリーンには負けてしまうが

「それでも、心配なんですよ…。」

「前から思ってたけどどうしてそこまで心配するの?」

レインは何かあればイエローの事を絶対に心配する。

イエローのことが好きだから

それは多分、恋愛感情で

多分、というのはレイン自身よく分からないからである。

でも

「レインさんが好きだからです。好きだから心配するんです」

イエローの言う“好き”は多分家族愛みたいなものなんだろうな、とレインは思う。

だからイエローはにレインの前で嬉しそうに自分が慕うレッドの話をするんだろう。

そう考えるととても悲しくて、辛くて、苦しい。

元より女の子同士なのだ

持ってはならない感情

それでも、この感情を捨てることはレインにはできなかった

(ああもう、イエローの鈍感!!)

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