その他短編

□とある人間の放浪日記
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SIDE:刹那


私が彼女を初めて見たときに感じたのは混乱だった

あのエヴァンジェリンさんをして理解不能と言わしめた人間、だと言うのにそんな雰囲気はまるで感じられない

その後、お互いに自己紹介をし、話したときには違和感を感じた

まるで雲霞のように飄飄とした態度からは何も読み取れない

彼女の人となりが掴めないのだ

まぁとりあえずお嬢様に害を成す気はないようなので別に構わなかったが

彼女に二度目にあったのは、それは彼女の実力を計るために高畑先生との模擬戦のときだった

高畑先生と彼女との間には7m程の距離がある

高畑先生はポケットに手を入れて居合い拳の構えをしている…のにも関わらず彼女は自然体のままだった

何処かから取り出した刀を構えることもせず

ただつっ立っているだけ

誰もがその様子に訝しんだ

「始め!!」

学園長の合図で模擬戦が始まる

──多分、私は、彼女以上の実力者に出会うことはないだろう

全ては、一瞬だった

学園長が合図を終えた次の瞬間には

構えた状態のまま動けない高畑先生と

その高畑先生の首に刀を当てている彼女の姿があった

有り得ない

それが、見ていた者全員の総意だった

彼女は気や魔力を使ったりした様子はない

つまり瞬動術や虚空瞬動を使わずにあの速さを出したということである

人間の身体能力であんなことが可能なのか?

不可能ではないのだろう

でなければ彼女ができる筈がない

不可能ではないだけで恐らく修得するためには血の滲むどころじゃない努力や修業が必要だろう

それを…

私と変わらぬ年で修得している彼女は一体何者なのだろうか

結局、その答えは出ないままだったのだが

彼女の速さは良く分かった、しかし速さ以外の事、つまり剣術の腕前だとかそう言ったものが一切分からなかった

だから今、私と彼女は打ち合っている、のだが

「くっ!!」

「うーん。もうちょっと鍛えた方がいいと思うよ。正直『気』に頼り過ぎ。」

最早打ち合いではなくて唯の指導と化している

「貴女がっ、規格外なんです!!」

「いやいや、そうでもないよ。世の中には『気』や『魔法』なんてモノを使わないで斬撃を飛ばせる人間も居るんだから」

彼女の一撃一撃が確実に急所を狙ってくる

時々鞘を使ってフェイントもしてくるからなお厄介だ

「いやはや、ボクも『気』やら『魔法』やら色々使えるけどさ。使わなくても強くなるのにどうして安易に力を使うのかねぇ」

その彼女の発言を聞いて私も含めたほぼ全員が苦い顔をしているはずだ

ここにいるほとんどの者が彼女の言う「気」や「魔法」に頼っているからだ

「面白くないなぁ」

その言葉とともに彼女の雰囲気が変わった

「ま、仕方ないし技を一つ教えてあげる。しっかりと覚えてね」

彼女は一瞬で距離をとり、刀を鞘に収め抜刀術の構えをとる

私が覚えているのはそこまでだった

「神崎流―一意専心」

その言葉とともに、私は何が起きたのかわからないまま意識を失った



それから、私の修行の一環として彼女との打ち合いが時々行われることになったのだが―

その事はあまり思い出したくない






――――――後書きのようなもの――――――

何となく(ry

学園長とかは高畑先生が勝つと思ってた

高畑先生も実力を計るつもりであって負けるとは微塵も思ってなかった

が、蓋を開ければこの通り

あんまり書く意味のない話

とりあえず刹那を書く練習したかっただけな話です
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