爆風草子

□夏、桜吹雪
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外は夕陽で紅く染め上げられ、ぬるい風が走った。窓際の風鈴が透き通った音を出して揺れた。しかし音だけは涼しくても、


「暑い!!」


暑いものは暑い。畜生、叫んだら余計に暑くなってきた。


「翔吾(翔吾)煩い。少し黙っとけ」


そう言って団扇でパタパタと仰いでいるのは友達の晃平(こうへい)。
小さなセンターテーブルの上に参考書やらノートやらを広げている。


「うっわ、よくこんな暑い中勉強出来るな!」
「お前とは違って勉強に集中できるからな」
「うるせっ」


五十嵐 翔吾、17歳。
全寮制の私立高に通い始めてから1年と数ヶ月が過ぎた。全寮制と言えばやはり相部屋というのがツキモノ(?)。勉強が出来る奴との相部屋はキツイ。何しろ騒げない。こちとら少しくらい構って欲しいのに、『勉強の邪魔!』の一言で片付けられる。分からんよ、天才という奴は。


「暑い!限界!コンビニでアイス買ってくる!!」
「俺のも頼むわ。カップのやつ」
「了解!」


自分の携帯と財布を手荒に掴み取ると勢いよく部屋を出、それはもうジャガーの如く走った。



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