Short Dream
□6月の花嫁
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「学さん」
振り返ると白無垢に身を包んだ彼女が立っていた。ウエディングドレスも捨てがたかったが、やはり彼女には和装が似合う、と確信する。
「学さんの袴が似合いすぎて怖い」
白無垢の花嫁が歯を見せるほど笑わないでもらいたい。
「どちらにしても笑うのか」
彼女が、僕のタキシードはヤバいから(何がどうヤバいのかは不明)神前式にする、と言ったのだ。
「でも、本当によかったの?教授とか、呼ばないといけない人はたくさんいたでしょ?」
式は身内だけで行い、披露宴もしないことにしていた。
「呼んでいてはキリがない」
「後が怖いわよ」
「構わない」
「…あ、そう。首にならないようにしてね。
ずっと一緒にいるんですから」
彼女はふわりと笑った。
「ずっとですよ、ずっと」
「…善処する」
くるりくるりと表情を変える彼女は次はいたずらっぽい笑みを浮かべた。
離れません、離しません
(どうやら僕は)
(一生かけても)
(君には敵わなさそうだ)
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