B文

自覚と覚悟
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例えば。
例えば、この気持ちが恋だったとして。

恋だったとして・・・一体僕に、どうしろと言うのだろう?
相手は男で、下手をすれば結構な年上で、もしかするととんでもない家柄の御曹司かもしれなくて。これほど障害だらけの恋が現実にあるのかといっそ笑えてくるくらいだ。

どうしようもない、とは言わないが、リスクが高すぎる。ハイリスクローリターンここに極まるって感じだ。なんであのおっさんのために僕がそこまで苦労しなくちゃならない?理由が、ないじゃないか。


だから―――

「おーい!いーもこー!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ

「んー?どうした、妹子。明日から肥溜めに住む人みたいな顔して」

――――ちくしょう。

「・・・どんな顔ですかそれ!」

ありえないんだよ。

「考え事してたんです!僕はアホで無神経でアホな太子と違って繊細なんですから・・・!」

頼むからそんな近くで顔覗きこむなとか。

「ていうかその年で手ぇふりながら駆け寄ってくるっとかキモいし・・・」

そんなあんたに、どうしようもなく触れたくなるとか。

「それに・・・・・・・・・っ」

まったく、どうかしてる。

例えば。例えばこの感情が恋ではないとしても。
その笑顔をもしも一番近くで見ることができたなら、もう。
性別だって年だって家柄だってもう、どうでもいい。そんなもの、いくらでも乗り越えてやる。

そんなことを一瞬でも考えてしまった自分がいるだなんて。

「なにをーこの腐れ芋が!アホってお前今二回いったろ!天才生徒会長様を敬わんかいこのイナゴ会計!私はぴちぴちのじゅう・・・・・・あれ高校生って何歳だ・・・えっと十八か十九歳くらいだっわーかったかこらー!」

「うっさいわこのナマコがっ!!」

笑ってしまう。

「げたばこっ!!」

「るっせーんだよ誰が腐れ芋だアホにアホっつって何が悪い誰があんたなんか敬うかあんた敬うくらいなら精一杯生きてる草でも敬うわつーか何だよイナゴ会計ってそれと高校二年は十六か十七だこの中年!!!」

「お、おま・・・惚れぼれするようなマシンガントークだな・・・え?エラ呼吸?」

「僕は人間です」

・・・いいだろう認めてやる。僕は、あんたが好きだ。いつか言ってやりますよこのアホ会長。
覚悟しやがれ!







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