文1

見つめる瞳
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ぎしりとこの人らしい豪華な大型のベットが軋む。

「静久、」

私の下には驚いたようなひつぎさんの顔。
初めて見たその表情に私は恐ろしいくらいに優越感を得た。
きっと私しか知らない、この人の、

「・・・静久、」

その声も、その瞳も、今は私だけのもの。

「ひつぎさん」

でも今は少し黙って下さい。

何かを言おうとしたひつぎさんの唇に私のそれで蓋をする。貴方が何を言っても私はもう止まらない。


だってひつぎさん。

もう、駄目なんです。


誰かをからかう貴方も、誰かに笑う貴方も、私にはもう耐えられないんです。


だから、ひつぎさん。

どうか私だけのものになってください。






***






急に視界が反転したかと思うと、背中に柔らかい感触を感じた。
反射的に閉じていた目を開けるとすぐ近くに静久の顔があって少し驚く。

「静久、」

びっくりしたわ。不意打ちとはいえ、あなた腕を上げのね。

そう言おうとしたけれど、何だか上手く声が出ない。

あらわたくし、らしくないことに動揺しているのかしら。まだまだ修業不足ね。

だって、静久の眼があまりに真摯だから。
瞳の奥に燃え盛る何かを隠そうともせずにわたくしを射抜くその視線が、

「・・・静久、」

やだあなた、そんなに必死にならなくたってわたくしは逃げないわよ。
その気になればあなたの腕を払いのけることだってできるのにしないことがいい証拠だわ。
それにも気付けないなんて、やっぱりあなたも修業不足だわ。
ふふふ、わたくし達こんな時でも一心同体なのね。

「ひつぎさん」

わたくしの言葉を静久が遮る。
強引な静久なんて初めてじゃないかしら。あなたのことは全部知っているつもりだったのに、違ったのね。
新しい静久はとても新鮮。


でも、そうね。あなたが正気に戻ったら、教えてあげないといけないわ。


そんな泣きそうな顔をしなくっても、わたくしはずっと静久しか見ていないということ。じっくりとね。









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