文1
□明ける日を君と
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「あ、あけたね。おめでとうリンちゃん」
「ん、あけましておめでとうミク姉」
ルカお姉ちゃんとメイコお姉ちゃんは一緒に初詣、マスターとグミちゃんはお部屋。バナナイスは仕事。よって居間のおこたには今、私とリンちゃんが二人っきり。ラッキーだなあ、と私は顔のにやけを隠し切れずにいた。
家族皆で!って意気込んでたメイコお姉ちゃんには悪い気がするけど・・・うん、去年みんなと過ごした年の瀬ももちろん楽しかったんだよ?でも、リンちゃんとはやっぱり特別。
「ミク姉、新年早々顔がゆるいよ」
リンちゃんにそう言われても、やっぱり頬はゆるんだまま。
「えっへへー。だって、嬉しいよ。今年リンちゃんに初めて話かけたのも、初めてリンちゃんが見たのも私だよ?今年はあらゆる意味で私、リンちゃんの初めての女ー!」
「あーあーそうですかー」
リンちゃんはみかんを剥きながら興味なさそうな風に言う。
顔赤いし私の方見ないようにしてるし、照れてるのは一目瞭然なんだけどね。
「ふっふふー。リンちゃん可愛いっ」
「うるさい!ほらみかんでも食ってて」
リンちゃんは剥いたみかんを私に押し付けるようにわたしてもう一つのみかんを手にとった。
私はきれいに筋がとられたみかんを見てまた顔の筋肉がゆるむのを感じた。
わかりにくいけどわかりやすい、これはリンちゃんの機嫌がいい証拠。私が筋とる派だってこと、ちゃんとわかっててやってくれてる。
「ありがとーリンちゃん」
「ふん!」
初めてリンちゃんを照れさせたのも私だね。というのは口には出さないでおこうかな。初めてリンちゃんを怒らせるのも私ならいいなーとは思うけど、元旦くらいは怒りん坊さんを休業させてあげないとね。
「おみかん、おいしいね」
「当たり前でしょ」
誇らしげに言うリンちゃんを見つめる。
「お葱も持ってこようか」
「食べるなら一人で食べろよ」
「きびしいなあ」
暖かいこたつに君とふたり。みかんの甘さと酸味もちょうど私好みで素敵だし。
・・・欲張りを言うなら、欲しいものがもうひとつ。
「リンちゃん」
「なに」
「だーいすきだよ。リンちゃんは?」
欲しいもの。リンちゃんのデレが欲しい。
「なっ・・・に言うのいきなり!」
「んー、1番最初くらいはリンちゃんに素直になってほしいなーなんて。で、リンちゃんは?」
リンちゃんはぐうと数十秒間躊躇したけど、意を決したように私を見上げて言ってくれた。
「・・・・・・あ、あたしも・・・だ、だいす・・・き、だよ」
これでいいんでしょー!!とリンちゃんは私をにらんだ。ごめん、怒りん坊は年中無休ってことで。うん、リンちゃんはこうでないとね。
「うん。嬉しい」
ああ、なんて幸せな新年の幕開け。今年もきっと、いい年になるね。
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