文1

道化者
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リンちゃんは私のことを大好きでいてくれてる。
でもそれは、トモダチとして。
私もリンちゃんのことが大好き。
でもそれは、違う好き。
告白だって何回もしようとした。でも、

「ね、リンちゃんあのっ」

聞いて。

「あ、そういえばミクちゃん今日顔色悪くない?」

―――聞いて!

「え、そかな」

「そーだよ!あったかくして寝ないと。あたしはもう部屋に戻るねっお大事にー!」

そんな風にいつだってごまかされる。
どうして?ねぇ私、告白もしたらいけないのかな。
伝えたいの。大好きって。
希望がないなんてそんなの知ってる。でも、叶わなくてもいいからせめて言わせてよ。それでトモダチでいられなくなっても気まずくなっても私、後悔なんてしないから。
だってずっと変わらないなんて苦しい。このままリンちゃんに嘘つき続けるの、嫌なの。
大好きだから。


結局は、エゴイズム。


ねえリンちゃん、リンちゃんは私のこと気持ち悪いって思うかな。
気持ち悪いって、思ってるのかな。
だったら優しくなんてしないで。突き放して罵倒してくれた方がずっと楽だよ、こんな生殺しよりずっと。

『あたし、ミクちゃんのためなら死ねるよ。大好きな友達だもん』

純粋過ぎる言葉が痛い。
同じ大好きなのにこの気持ち恋ってだけでどうしてこんなに遠いの。

「私も、だよ」

トモダチ。

その言葉に縛られながら呪うように恋を祈る。

痛い、よ。
なんで私はリンちゃんがこんなに好きなんだろう。
いっそ嫌いになれたらって何度も何度も思ったけどこの気持ちは消せない。
離れようとしても苦しさが増すばっかりで何の意味もなかった。
わかってるのに。
私のこの想いはリンちゃんを悲しませてる。

リンちゃんが悲しいと、私も悲しいよ。

ごめんね。
リンちゃんが本当に私になついてくれてるの知ってるよ。
それで満足できなくて、ごめんなさい。

リンちゃんの為なら何だってできるのに、この恋を消すことだけはどうしてもできない。
リンちゃんをただのトモダチとして見ることだけは、無理なの。


リンちゃんが悲しいと私も悲しい。
リンちゃんがつらいと私もつらい。


でも。

だけど諦めることも嫌いになることも私にはできない。


大好きなのに大好きだからこそ貴女を悲しませながら右往左往する、私は道化者。









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