文1

星屑の中で
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きらきらと瞬く星たちの間を歩く。

色とりどりの光がそこかしこで踊って素敵です。
あそこの青のひかりと赤のひかりは仲がよさそうに飛び回っていて楽しそう。ずっと下の方では緑と黄のひかりが寄り添っている。なんだかかわいらしい光景に口元がゆるんでしまいました。

綺麗。こんな綺麗な景色なら・・・どうせならキョージュさんと見たいなあ。
そう思っているとなんだか私はキョージュさんに会えそうな気がしてきて、いつしか無限の星の中にキョージュさんを探すようになりました。

しばらく探していると、星に腰掛けているキョージュさんを見つけることができました。
本当にいるなんて、と私はとても驚きました。

「キョージュさん!」

「おや、如月殿」

キョージュさんはいつものような無表情でしたが、やっぱり少しびっくりしているみたいでした。

「奇遇だな」

「はい、本当に・・・ところでキョージュさん、それは何ですか?」

キョージュさんは大きな鍋を掻き交ぜていました。あまりに違和感がなかったのでもう少しでスルーしてしまう所です。

「これか?これは星だ」

「星、ですか」

なんとキョージュさんは周りにある星を鍋で掻き交ぜていたのです。

「そう。ただ、少し特別な星だけを集めたんだ」

「どんな風に特別なんです?」

「これは願いをかけられた星たちなんだ」

へえ、と私は思わずまじまじと鍋の中を覗きました。掻き交ぜられた願い星たちはどろどろに溶けて混ざり合っています。虹色の光が、ぐるぐるとキョージュさんが長い棒を動かす度に光が瞬いてぞっとするほど綺麗です。

「・・・どんな願いを込められたら、こんなに素敵な光になるんでしょう」

私はそれから目を離すことができませんでした。

「・・・知りたいか」

「知ってるんですか?」

「ああ。これは、私の願いだからな」

「えっ?」

橙色、黄色、桃色、赤色。暖色ばかりのこの願い星が、キョージュさんのもの?
そう言われると、意外だけど何だかとてもらしいのかもしれないと私はその光たちをさっきよりも愛しく感じるのでした。

ちょっとえこひいきかもしれません。
だって、私は―――、

「如月殿」

こちらを向け、とキョージュさんが言うのでなんとか私は鍋から視線を剥がして顔を上げます。
真っ黒な瞳と、目が合いました。

「・・・・・・私は、な」

「はい」


如月殿のことが、好きなんだ。




ぱちん、と夢のカケラがはじける音がして、私は目を覚ましました。






「・・・・・・・・・?」

見慣れた天井。あれ、私・・・え?

(如月殿のことが――)


「!!」

夢。私、なななっなんて夢をーーーー!!


「あいたっ?!」


勢いよくベットから転げ落ちた私はその日、頭に大きなたんこぶをのせて学校へ行くことになりました。


私はあんな夢を見た後でまともにキョージュさんを見ることができませんでした。さ、さいあくです・・・。



ただ、気になることがひとつ。



その日、キョージュさんもなんだか変によそよそしい気がしたのです。


―――もしかして私と同じ夢を見てくれたのかな、なんて。


突拍子がなさすぎますね。だったらいいのにという私の願望のせいでそう思えたのかもしれません。


「・・・まさか、ですよね」

「ん?どうした如月ー?」

「あ、えと、なんでもありませんよ」


この日は一日、キョージュさんを変に意識し過ぎて本当に大変でした。
でも、今日見た夢は、恥ずかしいけど、また見たいなーと思いました。









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