文1

好きの花束、100個。
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気のせいだろうか。背骨の軋む音がした気がする。


「あだだだだだだだ、ちょっメイコさん痛いですって」

抗議の声を上げても私を抱きしめる力は緩まない。
毎晩の酒盛りに付き合っていたらいきなり抱き着かれて一瞬喜んだ後の出来事がこれである。

「いででででメイコさんストップメイコさん」

「声に色気がない」

「平然とおっしゃられましてもいだだだだ」

「サバ折りは痛いものよ」

「サバ折りて!抱擁じゃないんですかこれ?!」

「えっ?」

「心底驚いたお顔ですね?!というかメイコさんサバ折りされてる人間に色気を要求なさってたんですか?!」

「・・・・・・・・・」

「メ、メイコさん?」

ぱたりと黙ってしまった。力は相変わらず緩まないけど。
全くどうしたというんだろう。普段こんなに絡む酔い方をする人じゃないのに。

「・・・・・・なによ」

「メイコさん?」

「・・・誰よ、あの人」

「はい?」

「昨日一緒に歩いてた!」

昨日?
記憶を探る。

昨日・・・
朝起きてメイコさんの寝顔見つめて。
レンが作った朝ご飯をメイコさんと食べて。
掃除するから邪魔だ外に出ろという意地悪なレンを私とメイコさんとミクとリンでからかった後にWデェトして。

「って昨日デートしてるじゃないですか。隣を歩いてた女性ってメイコさん以外いませんよ」

「違うその後!」

「はい?」

その後・・・えー

四人で家に帰ってレンの作った晩御飯を食べて。
メイコさんはリンとお風呂に入って。
じゃあ私はミクと入ろうかと思ったら逃げられて。
しょーがないからメイコさんの残り香を感じつつ一人でお風呂入って。
メイコさんの寝顔をみつめて寝た。


「身に覚えがないのですがいったたたたた」

力がさらにこめられる。


「・・・・・・・・・ゆめ」

「は?」










「あんたが昨日あたしの夢ん中でいちゃついてた女は一体誰だーーーーっ!!」









「なっ・・・知りませんよそんなのーーー!!」


人騒がせな恋人だった。

「メイコさんが勝手に見た夢じゃないですか!」

「・・・夢でも」

私の肩にうずめていた顔が上がる。
その表情を見てぎょっとした。


メイコさんが、泣いてる。


「夢でもやだったんだからしょうがないでしょー・・・!」

ぽろぽろと涙をこぼしてこちらを睨む。
酔ったせいで真っ赤な顔、上目使い、潤んだ瞳。物凄いベタな組み合わせ、だけど。

「・・・・・・ごめんなさい」

ベタなだけにそれは、何の非もないはずの私を謝らせるくらいにかわいらしいものだった。

「ごめんなさい、メイコさん」

ぎゅっと抱きしめて、頬にキスを落とした。
メイコさんはそれに安心したように再び私の肩に頭を寄せて、今度は優しく私を抱きかえしてくれた。

「・・・ん、よし。ルカだいすきだから許す。二度としないよーに」

苦笑い。それは残念ながら保証できない。
でも。

「ありがとうございます。私も、大好きです」


でももうそんな夢を見ないように、明日は100回でも1000回でも、たくさんの好きを貴女に贈りましょう。

楽しみにしてて下さいね。











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