文1

可愛い貴女
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「めー姉めー姉めー姉ーーーーーーーっ!!!」


「!!?ぎゃぁあああああっ!?」


突然、背中に衝撃が走る。痛い。私はそれ抗えず床に倒れ伏した。
・・・こんなことをする人は、私の知っている中で一人しかいないわね。というか声ですぐわかるけれど。

「リン…痛い…」

私の体にしっかり巻きついて離れない小動物に厳しめの声で言う。

「えー?ごめんよぅめー姉!ブラブラ散歩してたらめー姉がいたからついさ」

リンは悪びれたようすもなく謝罪する。背中に巻きつかれているから顔は見えないけどきっといつもの満面の笑顔だろう。

「というか、この体制かなり苦しいんだけど」

床にうつ伏せで背中に重石と縄の役割をしている女の子。はねよけるわけにもいかないし。
きっついわ。

「そっかーごめんねぇ」

「うんいいわ許してあげる。だからとっととどきなさい」

「やー」

リンはぐりぐりと背中に頬ずりをしながら私の正当かつ切実な要求を断った。

「・・・なんでよ」

「んー?めー姉が大好きでめー姉ともうちょいこうしてたいからー」

「な・・・」

まったく、この子は少し正直すぎる。やだもう・・・赤くなってないかしら。

「おや、めー姉のお耳が・・・あはは、めー姉ったらかわいー」

「るっさいわよ!」

やっぱり赤くなってた!私は羞恥心で今すぐ叫びだしたくなった。
そんな私の心を知ってか知らずかリンはなにか悪そうな忍び笑いを漏らして言った。

「ねーねーめー姉、リンのこと好きぃ?」

・・・答えろというのか私に。この状況で。この羞恥で心が折れそうなこの心境の中。

「・・・知ってるでしょ」

「そりゃ知ってるよ、めー姉のことだもん。でもさ、やっぱ言葉にしてほしいじゃん」


あーもうかっこいいわね!こういう時に真面目な声を出さないで欲しい。言うしかなくなっちゃうじゃない。そんな声でねだられたら。

「・・・・・・・・・・・・好きよばか」

本当に、この子には敵わない。

「ふふふふー」

リンは満足げに笑った。まったく、憎たらしいったらない。

可愛い可愛い年下のあなた。それがたまにとんでもなくかっこよく思えてしまう私は、きっと何かの病気なのだ。





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