文1

腹黒たちの攻防
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ボカロ一家のフォルダ内のそこら中に、なにか黒くてどんよりした空気が篭っています。

その黒い空気の中心で、その戦いは行われていました。


「お姉ちゃん、ぎゅー」

「あーもうレン暑い。離れなさい!」


リビングと思わしき部屋のソファの上に座り黄色い女の子に甘える黄色い男の子。そして、

「ふふふ、レン君ったら甘えん坊さんなんだから・・・リンちゃんが暑いってよ、離れてあげたら?」

真っ黒なとても体に悪そうなかんじのオーラを発する緑の女の子。フォルダ内の空気の原因は間違いなくこの人です。口調こそ柔らかいですが目がこのくそガキリンちゃんから離れないとケツからネギ食わすぞと言っています。

三人は黄色い女の子を挟む形で結構大きなソファの上なのにやたらくっついて座っています。

「なんだよー、ミクには関係ないじゃんか!お姉ちゃんに近づくなあっち行け!」

「あらあらレン君リンちゃん以外にはずいぶんと口が悪いわねぇ・・・しょうがないんだから」

ぐしゃりとミクの持っていた楽譜が歪みます。

それを気にせずべーと舌を出すレンは余程危険を察知する能力がないようです。
ぶわりとミクから出ている黒い何かが勢いを増しました。

「・・・レン、人にそういうことしちゃダメ」

リンはそれを敏感に察してレンに注意しますがレンは不満げにミクを睨み付けるのをやめません。双子の割に空気を読む力にだいぶ差があるようです。

「そうよーまったくレン君はしょうがないわねー」

うふふふという乾いた笑いをあげるミク。しかしその目はもはや凶器のように鋭く楽譜ももうぐしゃぐしゃで原型を留めていません。

一触即発。そんな単語がリンの頭を掠めました。

「いや、っていうかさ、あたし挟んで喧嘩しないでくれる?」

と一応真っ当なツッコミ入れてみますが、どうやらふたりにはそれすら起爆剤になってしまったようです。ほらお前離れろよ、いやお前が離れろという目と目のやり取りからはじまり最終的には


「あのさレン君さあ、いっつも思ってたんだけど何でミクの邪魔ばっかりするのかなぁ?」

「邪魔はミクの方だろっ!ボクのが先にお姉ちゃんと話てたのに横入りしたじゃんか!」

「はぁ?ミクそんなことしてないもーんリンちゃんが話かけてくれたから隣に座っただけよ何勘違いしてるのかなレン君は」

「お姉ちゃんは優しいからミクなんかにあいさつしてあげたんだろ勘違いはそっちじゃんか!リンに馴れ馴れしくすんなばーか!」

「ハッこれだからお子ちゃまは困るんだっつーのばーかとか本当幼稚すぎてやんなっちゃうわショタはショタらしくぶりぶりぶりぶりかわいこぶってなさいよ」

「いーよボクお子ちゃまだもんミクこそそのお子ちゃまにずいぶん必死なんじゃない?大人げないよねぇ年とると気が短くなっちゃうものなの?」

「だーっうるさいっつーのあんたら!いい加減にしろーっ!!」


この壮絶な舌戦は十分後アイスを買いにコンビニへ行っていたカイトという八つ当たり対象が帰宅するまで続きました。







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