文1

1
1ページ/2ページ



「沙都子?」

「・・・・・・」

「さーとーこー?」

「・・・・・・」

「沙都子っ!」

「・・・え、あ、な、何でこざいまして梨花?」

「みぃ。箸が止まっているのでどうしたのかと思ったのです。それにご飯粒もボロボロこぼしているのですよ」

「あ、あら。私としたことが」

最近沙都子はずっとこんな様子だ。
原因は・・・わかっているが、わかりたくないというか・・・。

「また魅ぃのことを考えていたのですか?」

「っ?!」

沙都子の顔が一気に赤くなった。

「そそそんなわけないでございますわ!梨花ったらまた変なこと言って・・・私をからかおうったってそうはいきませんございますでしてよ!」

間違いなく図星だ。いつもの変な文法がさらにおかしくなっている。

何をきっかけにこんなことになってるのかはわからないが、沙都子の親友としてはちょっと・・・・・・・・・すっごく、面白くない。

最近学校や部活でも結構露骨に魅音を気にしていて、魅音以外の部活メンバーには沙都子のこの・・・認めたくはないが、恋心らしきものはバレバレなのだ。
鈍感王のあの圭一にさえも、だ。
沙都子の状態に気付いた当初は、詩音は複雑そうな顔をし、圭一は何を考えていたのかことあるごとに鼻血をだして保健室へ行っていたが、今はようやく落ち着いたようで、二人して沙都子の恋を見守る会なるものをひらいて一向に進展しない魅音と沙都子の仲にやきもきしている。

レナは未だに複雑そうな顔で沙都子を見ている。
あっちも魅音の親友だからか、私と同じような心境なのかもしれない。

そして肝心の魅音はというと、まったく気付く気配がない。
それどころかレナの話によると沙都子に嫌われていると思っている節があるらしい。

まあこれは魅音と話す度に対応がぎこちなくなってしまったり、そうでなければ喧嘩のようになってしまったり、目が合うと真っ赤になってなぜか魅音を睨みつけ目を反らしてしまう沙都子に非がないとは言えないだろう。

まったくこいつらときたらじれったい。じれったいことこの上ない。

「・・・しかたないわね」

もうちょっと、動きがないようなら二人以外の部活メンバーで何か考えよう。

親友のためだわ。

レナもきっと複雑ながらも協力してくれるだろうし。
・・・もうちょっとだけ、心の整理をした後に。







Next後書き
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ