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□〜プラネタリウム〜
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「落ち着いたら連絡しようと思ってたんだけどね。まだ働き始めたばっかでバタバタでさあ…。」
僕は精一杯に答えたのだが、続く言葉が出てこない。困った僕はとっさに悟志に話しかけた。
「買い物?」
「そうそう。あっ、昨日、行けんで悪かったな。」
「大丈夫、大丈夫。また、ゆっくり飲もうよ。」
お互いに素っ気なくて、ぎこちないやり取りだ。この場の空気に耐えかねた悟志は会計を済ませて来ると言って、結子を残してレジへと向かって行った。
結子と2人きりになった僕は平静を装うのに必死だ。さっきまでとは違うドキドキした感じは、やはり”恋”なのだろう。急に結子と目を合わせられなくなってしまう。話したい事や聞きたい事が沢山あるはずなのに一つも声にならない。
「やっぱり東京って面白かった?どの辺に住んどったの?どんな仕事しとったの?」
結子も話したい事や聞きたい事が沢山ある様子だが、僕のそれとは明らかに違う。