another story

□〜プラネタリウム〜
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 飲み会の翌日、正午を過ぎても僕の目が覚めることはなかった。新しい職場で無意識に緊張し蓄積された体の疲れ、勿論、昨夜の酒も残っている。そして、知りたくなかった現実を知ってしまった心の疲れ。すべての要因が僕の目覚めを妨げた。
 午後3時を過ぎた頃だろうか。
「慎太郎!そろそろ起きて。今日は買い物に付き合ってくれるんでしょ。」
 ようやく僕は母親の言葉で目を覚ました。寝すぎてしまったせいか、だるい体を起こし階段を下りてリビングへ向かう。途中、携帯電話の着信履歴をチェックしていると見たくなかった名前があった。悟志だ。
 いつもの飲み友達で少々ウザい所もあるが、話の合う良い奴だ。そして、結子の彼氏。昨夜の飲み会に顔を出せなかった本当の理由も今なら分かる。ファミレスで話があると言っていた内容もそうだ。濁った悟志への感情の中で、はっきり分かることがある。とにかく今は、会いたくない。
 
 僕は身支度をして母親と買い物に出掛けた。目的地は実家から車で十数分の場所にある大型店舗のスーパーマーケット。
 母親と雑談をしているうちに到着した。駐車場に車を停めて、店内へと進む。1階にある食料品売場。週末だけあって混雑している。この場所だけとってみれば、さほど都会と変わりはない。いくら狭い町とはいえ、知り合い一人見つけるのも苦労しそうだ。
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