another story

□〜プラネタリウム〜
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 高校を卒業するまで暮らしていた自分の部屋。明日の午前中に東京から荷物が到着するので部屋を整理しなければならないのだ。とは言ったものの母親のおかげで掃除は行き届いているし物も少ない。捨てる物を選別するくらいだ。近頃では滅多に見かけなくなった14インチのブラウン管のテレビ、再生専用のビデオデッキ。プレステとそのゲームソフト。それぞれに思い出があるので、いざ捨てるとなれば名残惜しいものだ。その後も作業は捗らずベッドに横たわり一息ついた。そして手癖のように携帯電話を手に取り着信履歴やメール履歴の画面を繰り返し見る。僕はコンビニに立ち寄った時から、来週の飲み会の事が気になって仕方がないのだ。7年ぶりに結子に出会えるかもしれない。その間も香奈をはじめ地元の友人とは連絡を取っていたのだが、向こうも気を使ってか結子の話題には触れなかったし、僕もことさら聞かなかった。いわば空白の7年間が今に凝縮されて妙な期待感を生み出していたのだ。
 その後、僕の意識はベッドに吸い込まれる様に深い場所へと誘われて行く。

 『時間』というものは時として悪戯なことをする。
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