結末は僕ら次第

□vol.1 終わりと始まり
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「オレと別れて」

2年ほど付き合っていたカカシから、突然別れを告げられた。
なぜかと聞くと、他に好きな人ができたらしい。
本当は殴ってやりたい気分だったけど堪えた。

「……わかった」

別れには応じたけど、私は今だってカカシが好きだ。
でも泣きついても、喚いてもダメだと経験で分かっていた。
カカシは「じゃーね」と言って、隠れていない右目を弓なりにして瞬身で消えた。

私は何事もなかったかのように家に向かって歩いた。
途中、いつも行く八百屋さんの前を通りかかると癖で「茄子でも買っていこう」と思ってしまう自分がいた。
だけど、買ってももうナスのおみそ汁を作る役目は終わったわけで。
そのまま通り過ぎて家に着いて気がついた。

「ここ、私の家じゃないんだ……」

カカシと私は同棲していた。
付き合って半年くらいは別々に住んでいたけど、カカシが一緒に住みたいと言ったので私がカカシの家に住むことになったのだ。

「とりあえず荷物」

寝室に向かい、バッグにほとんどない荷物をつめる。
すぐにでもこの家を出ないと、思い出に縛られて動けない気がして玄関に向かった。
ドアノブに手を伸ばすと、開けようとしたドアが開いた。
ほんの数十cm先にいたのは、カカシだった。
「おかえり」と言えないことがすごく悲しかった。

「荷物を取りに来ただけだから。鍵置いておくね」

カカシの顔は一切見ず、下駄箱の上に鍵を置いて私は部屋を後にした。

「これからどうしよう」

帰る場所を失った私は家探しのため、不動産屋へと向かった。

「はぁ〜」

オレンジ色の空が星空に変わった頃。
不動産屋が定休日(よりによって!)で、家探しができなかった私は公園のブランコに座っていた。

「明日になったら家を探さなくちゃ。あ、でも明日は任務か……」

体を包む空気は冷たい。
昼間は少し暖かくても、夜になると冷える3月。

「とりあえず、アンコの家にでも泊めてもらおう」

ブランコから立ち上がり、冷たい風に吹かれつつアンコの家へと向かった。


***

→あとがき

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