LongStory

□5章
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tamamori.side





もう

何も見たくない。

何も感じたくない。

何も、したくない。





「…」




一夜が明けて

朝が来た。





昨日まで降っていた雨は

いつの間にか止んで


空はまた

綺麗な青空になる





秋も近いせいか

今までムシムシしていた風は

心地良い、涼しい風に変わっていた








でも

俺の心は

まだ、土砂降りだった。










昨日、

宮田が死んだ。












「なんでだよ…なんでなんだよ…」









俺は倉庫の中で

宮田を抱きしめ続けた




でも

目を開けてくれない







昨日まで

笑ってた宮田は


もう

ここにいない









「俺のせいだ…」









俺が

自分で薬を取りに行けばよかったんだ




そしたら

宮田は死ななかったんだ








今は

誰に殺されたとか

そんなの考えてる余裕はなくて



でも

俺の心は

すっかり空っぽになってしまった








ねえ、宮田。


俺なんでもお前の言う事聞くよ。


いつもいつもパシったりしてごめんな。


俺、本当はお前のこと大好きなんだ。


お前がいないと何も出来ないんだ。


いつもありがとうとかごめんとか、


そういう当たり前の言葉すら言えなかったけど


ほんとは俺、


お前にありがとうって


もっともっと、言いたかった。


今戻ってきてくれたら


俺今度は素直にちゃんと言うよ?


だから


だから








「戻ってきて…お願い…」









俺を

置いてかないで。








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