LongStory

□3章
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kitayama.side



朝、

奇妙な校内放送で目が覚めた



―"食料配給"





「横尾…横尾起きろ」


「ん…どうかした?」


「食料配給だって…。どうする?」


「どうするって行かないと。俺ら食料無いんだしさ」




横尾はだるそうに立ち上がると

武器であるカッターを手に教室を出る



俺も後を追いかけるように

小走りで教室を出た






横尾は

いつだって冷静で


こいつ本当に状況わかってんのかよ、って

思わずつっこみたくなる程だった








「何してんだよ」


「急に外出て殺されたら終わりだろ?」






横尾は

校舎の壁に隠れるようにして

静まり返った校庭を眺めていて



しばらくすると

物凄い音と共に

軍隊用みたいな緑色のヘリコプターが

地面すれすれまで降下し、食料を乱暴に落として行った




落とされた米やパンは

袋なんかに包装されてなくて

そのまま汚い地面に散らばっていた



米には土やほこりがこびりついて

食べれるようなもんじゃなかった






「まじ虐めかよ…」


「行くぞ」


「あ、おいっ…」







横尾は突然走り出し

比較的綺麗なパンや


かろうじて包装されているスナック菓子を

両手いっぱいに持って戻ってきた






「やるなあお前」


「関心してないで行くぞ、ここは危険だから」




正直、安心した。


横尾がいれば

俺、助かるんじゃないかって



このまま

なんとか生きてけるんじゃないかって





その先の

殺し合いがどうとかは


今はまだ

何も考えたくなかった








「これだけあれば一週間平気だな」


「うん…」





お前の笑顔に

俺は

絶望の淵からほんの少し

光が見えた気がした。






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